一方、第7R「香港マイル」は、日本馬にとって手強い相手が立ちはだかっている。
「昨年の覇者で、GⅠ4勝を含む15連勝中の香港馬ゴールデンシックスティが強敵。とにかく末脚が超強力です」(秋山氏)
前走のジョッキークラブMは、前半が50秒35という超スローの中、ラスト400メートルを最後方から21秒51で上がり、GⅠ2勝馬ワイククに1馬身差をつけた。
「しかも7カ月ぶりのレースで、陣営も認める余裕残しの状態。ひと叩きして、もう一段パフォーマンスを上げられると、香港勢の逆転は難しそう。もし波乱があれば、未対戦の日本馬でしょう」(秋山氏)
同レースに日本馬は4頭出走するが、前出・牧野氏は筆頭格にダノンキングリーを指名した。
「今春の安田記念でGⅠ6勝馬グランアレグリアを破っていますからね。マイル戦であれば一発の魅力があります。他の3頭にしても、インディチャンプはマイルGⅠを2勝していますし、朝日杯FSを制したサリオスは、ハミ受けの改善やレース展開などがかみ合えば上位を狙えます。前走のBCマイルで12着に終わったヴァンドギャルドは、ゲートのやり直しが影響しましたね。GⅠドバイターフで2着の実績がありますし、巻き返しは必至」
とはいえ、ゴールデンシックスティ以外にも強力なメンバーが揃っている。
「香港勢ならモアザンディスとエクセレントプロポーザル。前者は4月のGⅠチャンピオンズMで、ゴールデンシックスティにアタマ差の2着。後者は4歳クラシックシリーズ(4歳三冠レース)の初戦、香港クラシックMの勝ち馬です。前走のハンデ戦は2着でしたが、勝ち馬との斤量差が約5キロ。しかも直線での不利を考えれば悪くはない走りでした」(秋山氏)
香港勢も侮れない中、第4R「香港ヴァーズ」は、一昨年の覇者グローリーヴェイズが最右翼だという。秋山氏が続ける。
「香港で行われた今春のGⅠクイーンエリザベスⅡ世Cで2着。馬場適性は証明済みですし、前走のオールカマー(3着)からも衰えを感じません。強敵は英国のパイルドライヴァーと、前走は超スローペースに泣いた香港馬コロンバスカウンティを挙げたいですね」
ダノンスマッシュが連覇を目論む第5R「香港スプリント」は、ピクシーナイトとレシステンシアを含めた国内GⅠ馬3頭が参戦。
「今年は香港のGⅠ馬2頭がステップで黒星。その他は実力差がなく、展開が明暗を分けそう。緩流なら逃げ馬のコンピューターパッチ、激流ではナブーアタックの追い込みを警戒したいですね」(秋山氏)
帰国後の待機期間の関係で有馬記念の騎乗が不確かな中、福永祐一と川田将雅も気合いの参戦。馬券的には2人を狙い撃ちしてもおもしろそうだ。
*週刊アサヒ芸能」12月16日号より