【中国】出産奨励政策が暴走?「出産痛み体験」で男性が腸壊死の衝撃事件

 かつて日本でも「女性は子を産む機械」などと発言した大臣が猛烈なバッシングを受ける大騒動に発展したことがあったが、少子化が進む中国では今、中国共産党指導による「妊娠・出産狂騒曲」がエスカレートしている。

「中国では役所に婚姻届を提出すると、無料で妊婦用ビタミン剤が提供されるのですが、その後、役所職員から使用したかどうかを聞かれるしつこい電話があるそうです。さらに職員が新婚家庭を一軒一軒回り家族計画を質問したり、なかには『生理日』まで確認する職員もいるのだとか。また若い女性が多く集まる集会などでは大学と提携し、『肯定的な結婚・出産観』を持たせる講座を行うなど、政府主導により、あの手この手で出産圧力ともとれる行為が日常的に行われているようです」(中国事情に詳しいジャーナリスト)

 中国共産党は1970年代から数十年にわたり一人っ子政策を実施。許可なく妊娠した夫婦には罰金が科され、妊娠中絶を強要される女性も少なくなかった。結果、当然のことながら出生率が激減。すると今度は、手のひらを返したように出生率の引き上げを国家の優先課題として推進し、フェミニズム運動の取り締まりを強化してきた。

「現在、中国では夫婦1組につき3人まで子どもをもうけることを認めていますが、子どもが欲しいと思うかどうかは極めて個人的な問題。それを政府から、しつこいくらいに介入されることに対し、多くの中国人女性たちが時代遅れだと反発しています」(同)

 だが、いまや人口ではインドにも負け、なんとしても「子供を増やしたい」と考える中国共産党は、新たな出産奨励文化の推進に取り組むとして医療的に必要のない人工妊娠中絶を減らし、SNS等で中絶手術へのアクセスを制限する動きもあるとされる。

 そんな出産奨励の動きを後押しするべく、最近、中国国内の病院に登場しているのが、夫が出産の痛みを体験することにより妻と同様に子供を慈しむ気持ちを共有しよう、という試みだ。

「こうした体験は産後母子ケア施設などで分娩体験機を使って行われているのですが、近年では結婚前のカップルも数多く参加し、中国ではちょっとしたトレンドになっているのだとか。この疑似体験は、まず電気ショックを与える装置を腹部に装着し、看護師が痛みのレベルを1から10まで上げていくというものです。ただ、あくまでも疑似体験ですからね。実際の出産で女性が体験する痛みとは比べられないほど弱いと言われています」(同)

 ところが、婚約中の女性が夫になる男性に「出産の痛み」を体験させるため、「模擬出産体験センター」に連れていき、電気ショックを与えられた男性が腸壊死を起こし緊急手術を受けた、との記事が2月26日、香港メディア「星島日報」で報じられ波紋を広げた。報道によれば、病院を訪れたのは河南省に住む結婚前のカップル。ここで男性は最高レベルの痛みを3時間体験させられた結果、意識を失い小腸が壊死したというのだ。

「記事によれば、婚約者の男性は嫌がっていたものの、女性の姉が産婦人科ケア施設を運営していたこともあり、女性が執拗に説得して連れて行ったといいますが、疑似体験の後、男性は激しい腹痛と嘔吐に見舞われ、翌々日病院へ緊急搬送。すぐに切除手術されることになったようですが、事件を知った男性の両親は激怒。婚約は即座に破棄され、男性側は女性に対し損害賠償請求を行う予定だと報じられています。昔から男性が出産の痛みに耐えられるはずはない、というのは定説ですからね」(同)

 ともあれ、中国共産党が主導する「妊娠・出産狂騒曲」はまだまだ続きそうだ。

(灯倫太郎)

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