真夏の駐車場では、車がまるで巨大な“ヒートボックス”と化す。JAFの実験によれば、外気温35℃の環境で30分もすれば、黒いボディの車内温度は45℃を突破。さらに4時間後には57℃にも到達。白いボディの車でも52℃を超え、色の違いは無意味なレベルだ。
車内の熱を抑えるために多くの人が利用するのがサンシェードだが、使わないときの収納場所やドライブレコーダーとの干渉に悩まされがち。そんな中、ホンダが軽スーパーハイトワゴン「N-BOX」で、これらの悩みを丸ごと解消する“画期的な純正アクセサリー”を登場させている。
その名も「サンシェード内蔵大型ルーフコンソール」。2023年10月に登場した3代目N-BOXに初搭載されたこのアイテムは、運転席上部のコンソールからサンシェードを引き出し、ワンタッチでフロントガラスを全面カバーする世界初のビルトイン構造だ。
取り外しは不要。留め具を外せば、バネで自動的に巻き取られ、収納の手間もゼロ。また、ドライブレコーダーの位置を避ける専用カット付きで、片手操作が可能。日差し対策だけでなく、子どもの着替えや仮眠時の目隠しとしても使える“車内のプライベート空間”を実現する便利機能として、多くのユーザーに「神アイテム」と絶賛されている。
この好評を受け、24年夏には2代目N-BOX/N-BOXカスタム用の後付けキットも発売された。カラーはベージュとブラックの2色展開で、価格は4万4000円(消費税込み・工賃別)。デッドスペースとなりがちなルーフ上部を有効活用したこの発想は、単なるアクセサリーの枠を超えた“車内快適ソリューション”として注目を集めているのだ。
今のところこの装備はN-BOX専用だが、ホンダが「世界初」と胸を張るこの構造は、将来的にステップワゴンやフリードなど他のミニバン系車種への展開も期待される。日差し対策とプライバシー保護をワンアクションでこなすこの仕組みは、やがて“ホンダ車の新定番”になる可能性も。
酷暑が当たり前になりつつある日本の夏。このビルトイン式サンシェードは、N-BOXの大きな魅力のひとつであり、今後のカーライフにおける“新たな常識装備”となっていくかもしれない。
(ケン高田)