10万円でも売切れ!Nintendo Switch 2でやっぱり出た「外箱のみ」という転売ヤーのグレー出品

 量子力学の思考実験「シュレディンガーの猫」を彷彿とさせる「中身があるのか空なのか」不確定な出品が、「Nintendo Switch 2」発売日のフリマアプリを跳梁した。

 6月5日、都内の家電量販店や小売店では 抽選当選者の受け取り者による行列が伸びた。ただ、多くの店では当日販売を行わず、「当選者以外の販売はしない」と事前告知していたため、大きな混乱は起きていない。

 しかし、その裏で、メルカリやラクマには発売直後から転売出品が氾濫。国内モデルの税込希望小売価格4万9980円を大きく上回る7万~10万円という価格帯が並んだが、わずか数分で「売り切れ」が続出した。

 任天堂は発売前、メルカリ、LINEヤフー、楽天の3社と「不正出品を発見次第、削除し、情報を共有する」協定を締結している。中でも LINEヤフーは、Yahoo!オークション/フリマで当面の本体出品禁止を打ち出す強硬策を取った。一方でメルカリ、ラクマは「発売日以降の通常出品」までは封じ切れず、巧妙な「グレー戦術」が登場した。それが「外箱のみ」の出品だ。

 商品説明には、「箱しか出品しません。中身が入っている場合は各自で処分してください」といった一文。規約上「実物の箱」自体は出品禁止物ではないため、箱を売っているのか本体ごと売っているのか極めてグレー。結果、超高額な「箱ガチャ」が勃発したのだった。メルカリでは、過去にも「箱のみ出品」への注意喚起を行った前例があるが、現行ルールでは「誤認表示」が立証されない限り即時削除は難しい。

 買い手は「外れ=空箱」を引くリスクを抱えており、出品者が取引完了後にアカウントを捨てれば救済は長期化することが見込まれる。法的には景品表示法の「優良誤認」や、民法上の詐欺に問われうるが、「箱だけ」を明示していれば摘発のハードルは高いのが実情だ。

 結局のところ、Switch 2を正価で安全に手に入れる最短経路は、公式ストアや量販店の再入荷通知を粘り強く待つことに尽きる。空虚な箱を巡るマネーゲームは、消費者自身の「欲しい気持ち」を試す鏡とも言える。高揚と焦りに飲み込まれるか、冷静に列へ戻るか。転売対策と転売ヤーの知恵比べは続くが、最後に判断を下すのは消費者自身だ。

(ケン高田)

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