10万円給付金「確定死刑囚」にいつ届く? 植松聖ら“大量殺人鬼”の申請方法

 筆者のもとにも「申請書」がいつまで経っても届かない。政府の新型コロナウイルス対策の目玉である一律10万円給付(特別定額給付金)だが、オンライン申請はトラブル続きで、郵送されるはずの申請書についても地域によってバラつきが見られ、給付作業は遅々として進んでいない様子だ。

 コロナ禍によって生活費がつきかけている困窮者にいち早く10万円が行き届いてほしいところだが、なんとこの給付金は住民基本台帳に登録されている全国民を対象にしているため、死刑囚でも受け取ることができるという。この驚きの事実を「週刊新潮」(5月21日号)が「死刑囚も貰える給付金10万円の渡されかた」と題して報じた記事が話題になっている。これまで数多の事件を取材してきたジャーナリストが語る。

「『新潮』の記事によれば、法務省の担当者のコメントとして、自治体に要望を出したうえで、刑務所(拘置所)などに送られてくる書類で手続きをすれば問題なく給付を受け取れるといいます。銀行口座がない者に対しては、特例として現金書留で10万円を送ることもでき、給付された金で施設内の売店で買い物をすることも可能とのことです」

 現在、日本国内には収監中の確定死刑囚が100名ほどおり、それぞれが刑の執行を待っている状態だ。その中には世間を震撼させた凶悪事件を起こした者も多く含まれている。

「思い起こされるのは、2008年に東京都千代田区外神田の路上で発生した『秋葉原通り魔事件』の加藤智大死刑囚。赤信号を無視し2トントラックで侵入し横断中の人をはねた後、車から降り、短剣で次々と切りつけ17人を殺傷した。通り魔事件として平成で最も被害者を出した最悪の惨事となったこと、犯行動機が『ネット掲示板の荒らしに対する抗議のため』というなんとも短絡的で自分勝手なことだったことから、多くの人がショックを受けたのではないでしょうか。また、“婚活殺人”と呼ばれメディアを騒がせたのは、3人の男性を殺害した木嶋佳苗死刑囚。2007年から2009年の間に結婚を持ちかけては多額の金銭を受け取り、その後にその男性が不審死を遂げていた事件で、2017年に死刑が確定しています」

 一部報道によると、加藤死刑囚、木嶋死刑囚ともに東京拘置所に収監されているという。5月26日発売の写真週刊誌「フラッシュ」は「10万円給付金 うちの街はいつ届く?」と題した記事で、全国132自治体の給付事務のスケジュールを詳報している。同記事によれば、東京拘置所がある葛飾区の申請書の発送時期について《5月19日から発送》と記している。

「木嶋死刑囚に関しては、昨年、『週刊新潮』の編集部に籍を置く男性社員と“獄中結婚”したことが一部週刊誌で報じられました。もしこれが事実で、現在も婚姻関係が続いているとしたら、申請書は“塀の外”にいる世帯主のもとへ送られるはずですから、比較的スムーズに手続きが行えるかもしれませんね」(社会部記者)

 そして今年3月に控訴取り下げで死刑が確定したのが、2016年に発生した「相模原障害施設殺傷事件」で19人を刺殺した植松聖死刑囚だ。知的障害者施設「津久井やまゆり園」に刃物を持って侵入した植松死刑囚は、入所者19人を殺害し、職員を含む26名に重軽傷を負わせるという戦後最悪の事件を起こした。かねてより差別的な思想を持っていたとされるが、裁判中にも、被害者遺族の心情を逆なでするかのような、不謹慎な発言や理解不能な行動を繰り返した。

 多くの国民がコロナ禍で苦しむ中、大罪を犯した人間にも国から給付金がバラまかれるとは“違和感”を抱かざるを得ない。とにもかくにも、安倍政権には一刻も早く10万円を困っている人に振り込んでもらいたい。

(金沢伝之助)

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