小池百合子東京都知事が、水面下で“不気味な動き”を始めているのでは――。そんな声が政界関係者の間で囁かれている。
政治ジャーナリストはこう語る。
「小池氏が6月6日の定例記者会見で、イーロン・マスク氏を“日本に呼ぶべきでは”と発言したのです。これは都議会所信表明で掲げた『世界における日本の存在感を取り戻す』ために、“大胆な外交的ゲームチェンジを提案する”という構想とつながっています。記者からの質問を受ける中で飛び出したものでした」
このジャーナリストによれば、小池氏の背景には、友人でもあるアメリカの政治学者イアン・ブレマー氏の「G7ではなく、Gゼロの時代に突入した」とする世界観への強い共感があるという。
「小池氏は、トランプ政権下でアメリカがリーダーシップを失う中、日本こそが国際的な機関――国連安全保障理事会、WHO、OECDなどの機能を“東京に引き寄せる”ような発想を持つべきだと考えているのです」(同
その延長線上にあるのが、世界的起業家イーロン・マスク氏の“日本招致”構想だ。
「宇宙・EV・AI・投機など多分野に影響力を持つマスク氏は、トランプ大統領と蜜月関係にあった時期もありましたが、いまや減税政策をめぐって対立し、距離を置かれつつある。そんなマスク氏を東京が迎え入れ、“活躍の場”を提供することで、ポスト・トランプ時代に備える――。それが小池氏の“発想転換”です」(同)
小池氏の周辺関係者もこう語る。
「小池さんは“トランプの時代は4年後には限界が来る”と見ています。だからこそ、“今は日本政府が動けない中、東京や民間が動き、次の時代に備えよ”と訴えている。東京が外交・経済のイニシアチブを握るべきだという考え方です」
これに呼応するように、自民党関係者はこう指摘する。
「小池氏の狙いは“東京による一国二制度”のような構想でしょう。実際、東京都の令和7年度予算は特別会計を含めると17兆8000億円で、これはスイスやスウェーデンの国家予算に匹敵する規模です。“小池東京”は、国家並みの政策を次々と実行している。一方の政府としても、トランプに従いながら裏で小池氏を使ってポスト・トランプに備えたい。つまり、小池氏は日本のリーダーの座を、まだ諦めていないということですよ」
小池氏の側近筋は、こうも漏らす。
「彼女がああいう発言をするときは、すでに水面下で“一定の見通し”が立っているとき。マスク氏との接点や投資話が進んでいる可能性も否定できません」
都議選を前に、小池氏の動きから目が離せない――。“女帝”の逆襲は、静かに、しかし確実に進行中なのかもしれない。
(田村建光)