10万円の「うまい棒」って何だ! 試される購入者の先見力と審美眼

 昨年10月に1本当たり3円値上げして15円(税抜き、以下同)になったスナック菓子「うまい棒」。1979年の発売当初から1本10円を維持してきたが、22年1月についに12円に値上げ。原料のコーンや植物油に加え、人件費や配送費、資材などの上昇で価格維持が難しくなったからだ。

 そして、2度目の値上げとなったわけだが、消費者からは不満どころか「ここまで安く売ってくれてありがとう」と、感謝の声が相次いでいる。わずか15円で買えるお菓子はそうそうないのだから当然か。では、うまい棒が1本「10万円」になったら、どれだけの人がありがたがって購入するだろうか。

 実は、現代美術家の松山智一氏とうまい棒の販売元「やおきん」が共同開発した駄菓子「うまい棒 げんだいびじゅつ味」が1本10万円(税別)で、3月8日から限定50本で売り出された。このうまい棒は「観賞用」で実際に食べることはできないが、ファンとしてはなんとも気になる一品だ。

 松山氏は絵画から彫刻までを手掛ける米ブルックリンを拠点にする世界的美術家で、作品の人気は高く、かなりの高値で取引されている。今回のシルバーを基調としたパッケージのうまい棒は、わずか50個しか生産されないこともあり、のちのちプレミアムがつく可能性もあるだろう。

 松山氏は「広く親しまれた商品にアートという概念を用いて新たな価値を創出できるか問いたい」としており、要は松山氏の名前に10万円(税込み11万円)を出せるかが試されているとも言えそうだ。とはいえ、10万円はちょっと無理をすれば捻出できそうな金額でもあるだけに、頭を悩ませる人も多いのではないか。

(ケン高田)

ライフ