青春18きっぷ「改悪」を補う裏技を伝授しよう/佐藤治彦「儲かる“マネー”駆け込み寺」

 お金はないけど時間と好奇心、そして体力はある。そんな人たちに大人気だったJRの「青春18きっぷ」。1982年の国鉄時代から続いたフリー切符だった。

 春休み、夏休み、冬休みとその前後に使えるように、季節ごとに発売され、日本国中のJRの普通、快速列車に指定期間内であれば好きな5日間を選んで乗り放題。それが1万2050円という安さだ。

 夏休みであれば、7月に1泊旅行の往復で2枚、8月の帰省に2枚というように使えた。中にはその日のうちに東京から青森まで普通電車を乗り継いで行く、スーパーテクニックを披露する猛者も山ほどいた。

 複数人でも使えたし、使い切れないチケットは金券ショップが相応の価格で買い取ってくれたものだ。

 それが昨年末から、指定期間内ではなく、連続した5日間(もしくは3日間)となり、複数人で使うこともできなくなった。青春18きっぷを利用して、低予算で日本国中を旅していた多くの旅行愛好者はガッカリしたものだ。

 間もなくやってくる大型連休、そして、夏の旅行の計画を立てている人もいるだろう。休みを鉄道で満喫したい、それも限られた予算で楽しみたいと思う人は、青春18きっぷほどのスーパー激安乗車券ではなくても、まだまだ多くの魅力的なJRのチケットがあることを知ってもらいたい。

 例えばJR東海エリアの人が週末のちょっとした旅行や移動に使えるのが「青空フリーパス」だ。土日と休日、年末年始(12月30日〜1月3日)に使えるきっぷで、米原、鳥羽、豊橋、二川などのエリア間の普通、快速列車を利用できるだけでなく、在来線の特急列車も別に特急料金を支払えば使えて2620円。

 また、青森県、秋田県、岩手県には、それぞれ県内のJRを利用するための「ホリデーパス」があり、「あおもり」が2520円、「あきた」は2440円、「いわて」が2510円。新潟エリアなら「えちごツーデーパス」が2800円で2日間利用できる優れものだ。このようにJR各社は、休日を中心に乗り放題きっぷを発売しているのだが、他にも裏ワザがある。

 本来は非売品だが、金券ショップで売買されている「JR九州の株主優待券」として配布されている1日乗車券だ。JR九州内の普通や快速列車はそのまま利用できるほか、九州新幹線なども特急券を別途購入すれば乗車できる。およそ1枚2700円くらいで流通している。

 そして、四国や北海道などを旅する時に、私が狙っているのがJALやANAが発売している飛行機とホテルをセットで割安販売する「ダイナミックパッケージ」。購入者特典のオプションがすごいのだ。

 去年の10月、そのオプションを利用して憧れだった四国1周鉄道旅をした。高松に入り、初日は小豆島の日帰り観光。2日目は朝から特急列車を乗り継いで徳島、高知、宇和島、そして松山まで入り、道後温泉で1泊。翌日は松山からあえて伊予大洲駅まで戻り、予讃線で再び松山を目指す。世界中から観光客が押し寄せる絶景の下灘駅などを楽しんで、東京に戻った。

 特急自由席が使える2日間乗り放題のきっぷがオプションでたったの3000円だった。通常、JR四国の「週末乗り放題きっぷ」(利用期間は1日)が1万2000円、連続3日間の「四国フリーきっぷ」は1万8000円だから、驚異のディスカウントだ。

 オプションは各地の観光キャンペーンと頻繁にタイアップしていて、有名レストランや観光バスの超割引券、お土産激安クーポンなど、お得に旅をする要素が詰まっている。ネットの一発検索で見つかることはマレだが、コツコツ調べてお得情報を発見した時は、宝探しに成功した気分だ。旅は出かける前から楽しさにあふれているのだ。

佐藤治彦(さとう・はるひこ)経済評論家。テレビやラジオでコメンテーターとしても活躍中。8月5日に新刊「新NISA 次に買うべき12銘柄といつ売るべきかを教えます!」(扶桑社)発売。

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