前回の「アサ芸ハッピーマネー講座」は、65歳から85歳まで、年金や貯金だけではなく、遺産相続なども含めて自分はどれだけお金があるのかを、ザックリでいいので知っておいてほしいと書いた。
そのお金がだいたいわかったら、65歳未満の人は、その金額から300万円を引いて、残りを240で割ってほしい。例えば、俺はザックリ4000万円という人なら、3700万を240で割るというわけだ。すると約15万4000円になる。
すでに65歳を過ぎている人、例えば現在70歳なら、やっぱりその金額から300万円を差し引いて180で割ってほしい。ザックリ3600万くらいなら、約18万3000円だ。
このように、まずは自分の年齢から85歳まであと何年あるのか。その年数に12を掛けて、300万円を引いたあとに割る数字を算出する。厳密に言うと、1月生まれと8月生まれの人では変わってくるけど、12年と5カ月など細かいことは言わないで、繰り上げたり繰り下げたりして計算してもらいたい。
ここまで読んでいただけたら、いったい何を計算しようとしているのかわかってもらえるはず。そう、1カ月間に使えるお金がどのくらいあるかという計算なのだ。
ちなみに金額から差し引いた300万円は、大病したり、災害に巻き込まれたり、大きな出費が必要な時のために取っておくお金。300万円じゃ少ない、いや多い、との意見もあるだろうが、300万円は大金だ。当面をしのぐお金にはなるだろう。
この計算によって自分の世帯が毎月使えるお金が把握できる。さて、どうだろう? 何とか暮らせるかもしれないという人もいるだろうけど、足りないよ、という人が多いはずだ。
また、どうして85歳までなのか? という人もいるだろう。その疑問もよくわかる。90歳や100歳までと考えて計算もできるのだが、人生がいつまで続くのかわからないし、まず85歳までのお金の問題がクリアできていれば、それ以降の心配は80歳に近くなってから考えればいい。
ということで、まずは85歳まで、できるだけお金に困らず、おもしろくて楽しく生きるための設計図を描いてもらいたいのだ。
毎月のお金の少なさにうんざりしてる? でも、ここで読むのをヤメないでもらいたい。私はそういう人のために書いているのだ。むしろ、俺は意外とお金があって安心だ、とニヤニヤしている人は、ここで読むのをヤメてもらってもいいくらいである。
ただね、案外お金があると思っている人にとっても今後、物価が上がっていく可能性や、大規模な災害、ケガや病気などで恵まれた経済環境が一変するリスクはある。だから無理をしない程度に、もうひと踏ん張りして、経済的な余裕を高めることも考えてほしい。
お金が足りないという人も大丈夫。日本人の8割近い人が老後の不安を抱えていて、それに、お金が足りないことがわかっていれば、じゃあ、どうするかって考えられるのだから。
「いざとなれば国が助けてくれる」「兄弟や親戚、子供が助けてくれるだろう」というのがいちばんいけない。そうした考えは大切な人間関係をぶち壊してしまうことも多いので、幻想は捨てて、自分で何とかする方法を考えてもらいたい。
その方法は次のとおり。
「老後も働いてお金を稼ぐ」「今あるお金を工夫して増やす」「工夫と節約で使うお金を減らす」
この3つの方法でギャップを埋めるしかないのだが、どれか1つで問題を解決しようとすることはオススメしない。3つの方法をバランスよく取り入れて、無理をせずに問題に取り組むこと。そして、ここで重要なポイントが住宅。住まいをどうするか、なのだが、この続きは次回に。
佐藤治彦(さとう・はるひこ)経済評論家。テレビやラジオでコメンテーターとしても活躍中。最新刊「新NISA 次に買うべき12銘柄といつ売るべきかを教えます!」(扶桑社)発売。