小泉進次郎農相が、「令和のコメ騒動」を巡り突如巡ってきたチャンスを利用し「政権獲り」に打って出る動きを見せている。
自民党のある長老は語る。
「江藤拓前農相が失言で更迭され、その穴埋めとして急きょ回ってきた農相ポスト。政権の苦境の中で小泉がコメ相場を安定させれば“ポスト石破”を手に入れられると感じたようで、相当気合が入っているようだ」
さらにこう続ける。
「小泉の父・純一郎氏は、森政権の不人気を逆手に『自民党をぶっ壊す』と田中真紀子氏とタッグを組み、小泉フィーバーを巻き起こした。進次郎も今、全国民の願いである“コメ価格の安定”を実現すれば、一気に“進次郎待望論”が噴出すると嗅ぎ取っている。やはり小泉家の血だよ」
その小泉農相が就任直後、石破首相と協議の上で打ち出したのが「備蓄米の随意契約」販売方式の導入だった。
コメ関連業者の証言。
「従来の備蓄米は入札方式で、最高額を提示した業者が落札していた。そのため『高値落札ではコメ価格は下がらない』『国が儲けてどうする』といった声が上がっていた。小泉農相はこの方式を改め、大手スーパーなどを指名して随意契約に切り替え、安価で大量の備蓄米を市場に流す方向に転換しようとしている。売り出し価格も大幅に下げたい意向です」
小泉氏の本気度はすさまじく、周囲の記者や財務省・農水省の官僚も、その熱量に圧倒されているという。
その勢いのまま、小泉氏は5月23日、フジテレビ系「サン!シャイン」に生出演し、こう語った。
「石破総理は(備蓄米を)3000円台でと言ったが、今の平均が4200円だとすれば、3000円台で十分とは言えない。国民が安心して買える水準を考えると、さらに深掘りして2000円台での販売を目指すべきだ」
政治アナリストはこう見る。
「今夏の参院選で自民党が勝つシナリオは2つしかない。1つはコメ価格の引き下げ、もう1つはトランプ関税へのソフトランディング。そして、それを指揮する人物が“ポスト石破”の筆頭に躍り出る。小泉進次郎氏がまさにその座に最も近い存在です」
果たして小泉氏は、「令和のコメ騒動」を具体的に鎮静化し、政権中枢に駆け上がるのか――全国民の注目が集まっている。
(田村建光)