井上尚弥、ファイトマネーが爆上がりも「ガラスの顎」を狙う剛腕挑戦者

 プロボクシング4団体王者の井上尚弥のファイトマネーが今後も右肩上がりになることが確実だ。

「ボクシングの聖地」米国ラスベガスで、史上最多記録に並ぶ4度目の4団体王座同時防衛に成功。11戦連続KO勝利で世界戦通算23KOはなんと77年ぶり更新された単独最多記録である。

 昨年12月にはサウジアラビア国営の総合娯楽庁(リヤド・シーズン)と3年30億円のスポンサー契約を結んだ。この試合の井上のファイトマネーは総額800万ドル(推定11億5000万円)と言われている。米メディア「ザ・スポーティングニュース」は、井上の生涯ファイトマネーが5000万ドル(約72億円)を超えたと報じていた。

「世界戦のファイトマネーは本人7割、ジム3割というのが妥当なライン。税金は法人を設立していれば法人税や住民税で3割強、個人であれば所得税と住民税を合わせて55%弱が納税額になるといいます」(ボクシング担当記者)

 井上のファイトマネーが右肩上がりになる理由の一つは、この試合で2ラウンドにプロキャリア2度目となるダウンを喫したことだ。逆襲劇が会場を大いに沸かせ、井上本人は「非常に驚きましたけど、冷静に立て直すことができました」と振り返っていた。試合では鼻血も出しておりこれもドネア戦(19年11月)以来、5年6カ月ぶりだ。

 対戦相手のカルナデス(WBA世界同級1位)陣営は「(井上は)パンチを打つと必ずガードが下がる」というウイークポイントを見つけて「打ち終わったところを狙った」(カルデナス)という左フックだった。このダウンシーンを受け、Xでは「ガラスの顎」と指摘する声もあった。

 モンスターの異名は世界的に浸透し、研究しつくされている。今年あと2試合計画されているが、いつ倒れるかわからない状況になってきた。9月にはKO率が8割近い“最強挑戦者”WBA世界同級暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)との団体内王座統一戦が控える。

(小田龍司)

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