タイソン以来34年ぶり「東京ドーム」興行にたどり着いた井上尚弥の「究極の目標」

 東京ドームでの激突がついに実現する。プロボクシング4団体(WBA・WBC・IBF・WBO)統一スーパーバンタム級王者・井上尚弥が、WBC同級1位で元2階級制覇王者のルイス・ネリ(メキシコ)と5月6日に東京ドームで対戦することになった。

 東京ドームでのボクシング興行は、1990年に行われたあのマイク・タイソン以来34年ぶり。井上は以前、「いつか東京ドームでメインを張れることになったら最大のモチベーションになる」と話し、3月6日の会見でも「過去イチ仕上げなければいけない」とコメント。その熱い理由は、東京ドームでプロボクシングによる日本人のメインイベントは史上初となるためだ。

 井上は日本人ボクサーとして“観客呼べる”一人。これまでは東京の有明アリーナで防衛戦を続けてきた。昨年12月のマーロン・タパレス戦では1万5000枚のチケットを求めて購入希望総数が10万通以上を突破したこともあり、所属する大橋ジムでは東京ドーム興行実現に向けて奔走していた。

 1990年2月11日、東京ドームのこけら落としとして行われたマイク・タイソンによる3団体(WBA ・WBC・IBF)統一世界ヘビー級タイトルマッチには、5万1600人の超満員に観衆が集結。当時24歳で絶頂期だったタイソンがまさかのKO負けとなり「ボクシング史上最大の番狂わせ」として世界中に発信された。

 この時、タイソンのファイトマネーは勝っても負けても当時としては破格の6億円。試合5週間前に来日する気合いの入れようで、タイソン陣営はホテルニューオータニのワンフロアを借り切り、その滞在費も2億円を超えた。

「ボクサーが稼げる世界にしたい」という究極の目標を持つ井上にとって、文字通りの試金石になる東京ドームマッチ。いったいいくら稼ぎ出すのか。今後も注目を浴びそうだ。

(小田龍司)

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