井上尚弥がドヘニー戦で「無敵」を証明も、本場・米国で報じられた「ダメ出し」とは

 プロボクシング・スーパーバンタム級の4団体統一王者・井上尚弥が、国際ボクシング連盟(IBF)同級元王者のTJ・ドヘニー(アイルランド)戦で、7回16秒TKOで勝利したのは9月3日のこと。一夜明けた4日には「気持ちを切らさずに12月に向けて高めたい」と計画されている次回の防衛戦などについて意気込みを話した。

 ただ、挑戦者の「負傷棄権」という消化不良の幕切れに井上自身も「あまり楽しくなかった」と笑顔なし。ドヘニーは試合1日前の計量では55.35キロだったが、試合当日には11キロ増量の66.1キロでリングに上がっていた。

「このボクサーはきちんと減量はこなすが、試合当日には必ず10キロ以上増えて上がるので有名。井上側はそれも想定内で、井上も7.4キロ近く増やして過去最重量の62.7キロでリングに上がっています。ルール上、何ら問題はない。ボクサーは水分や塩分などを抜いて減量する場合が多く、計量をパスすれば試合当日の体重は必ず増えます」(格闘技担当記者)

 ドヘニーは37歳という年齢と急激な体重増で体力的に7回に完全ガス欠状態になったと見られる。井上はこれでプロ28戦28勝(25KO)と、負けなし。「この階級では国内外で敵はいないと言っていいほど」(前出・担当記者)なのだが、今回の防衛戦についてボクシングの本場・アメリカでは井上の9試合連続KOこそ評価しているものの、米国内での試合が少なすぎると“ダメ出し”しているとの報道もある。

 共同プロモーターのボブ・アラム氏は井上がプロボクシングの総本山である「米・ラスベガスに必ず進出させる」ことを明言している。その前哨戦として、今年は井上の興行を「年間3試合」企画してその最後が12月の防衛戦となる。場所は次回も国内で、相手はIBF、WBO(世界ボクシング機構)同級1位のサム・グッドマン(25=豪)が有力視されている。

 英雄・パッキャオ並みの世界的スターになる日は近い。

(小田龍司)

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