鳩山由紀夫「共和党」に中国が急接近【1】引退後に中国と関係を深めた

 政府が推進する「経済安全保障」。その仮想敵国のひとつが中国である。しかし、覇権主義をあらわにする隣国が付け狙うのは、何も我が国の経済だけではなかった。シリーズ第2弾は、かの国が仕掛ける「政治工作」の一端を、終わったばかりの参院選から紐解く!

「日本に帰化していない中国人が、なぜか参院選の手伝いをしている」

 公安関係者が、今夏の参院選について、そんなことを明かした。調べてみると、中国人が応援しているのは、鳩山由紀夫元首相(75)が立ち上げた「共和党」であることがわかった。

 鳩山氏は、12年に政界引退を表明したものの、20年7月に共和党を結成。その代表として「棟梁」なるポジションに就いた。今回の参院選では、東京と神奈川の選挙区で候補者を擁立し、国政への復帰を図っていた。その選挙運動を目撃した人によれば、

「運動員の数人が、流暢な中国語で会話していた」

 というのだ。確かに公選法に外国籍の人間が選挙運動することに規定はなく、法には触れていないが、

「どこの国の選挙なんだと思ったよ」

 と先の目撃した人物が驚くのも無理はない。いったいなぜ、参政権のない中国人が鳩山氏のあと押しをしたのか。これについて、公安関係者が明かす。

「中国が在日大使館に指令を出し、それを受けた大使館が日本国内の協力者に動員をかけた。かなりの数が動いている」

 事実とすれば、中国の政治工作が選挙にまで及んでいることになるわけで、もはや驚き以外にない。だが、鳩山氏と中国との関係は現在、それほどまでに深いのも事実なのだ。

 そもそも鳩山氏は引退表明後の16年4月に、中国・西安交通大学の名誉教授に就任し、それを機に中国との関係を一気に深めた。その半年後の10月に日米が主導するアジア開発銀行に対抗して中国が設立したアジアインフラ投資銀行の国際諮問委員会の委員にも就いている。

 また、21年8月には、中国共産党中央委員会の機関紙である人民日報が開設したニュースサイト「人民網」に登場。中国共産党創立100周年にスポットを当てた特集のなかで、程永華・元駐日大使と対談し、中国を是認するばかりか、称賛する発言を繰り返した。

 いやしくも元首相のすることとは思えないが、それだけに中国にとって鳩山氏は重要なのであろう。今回の選挙支援も、こうした文脈の中で実行に移されたとみられる。

 ただし、「中国の動機には実利も透けて見える」と公安関係者が続ける。

「候補者が当選して、現役の国会議員となれば入手できる政治関連の資料が膨大に増える。審議中の法案についてはもちろん、中国にとって関心のある制度や規則などについて各官庁に資料請求することなども可能だ。なかなか手が伸びない政府関連の統計資料などについても同様で、また、国会質問ばかりか質問主意書などを利用して中国の利益にかなう提案や質問、場合によってはプロパガンダさえできてしまう。こうしたメリットを視野に入れていないはずがない」

 中国が政治家の利用に長けているのはつとに知られたことだが、この発言を聞くと、鳩山氏が代表を務めた民主党政権時の一大スパイ事件をつい想起してしまう。

時任兼作(ジャーナリスト)

*「週刊アサヒ芸能」7月21日号掲載、【2】につづく

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