この10年で日本から110万台以上の自販機が消えた理由とは

 世界最大の自動販売機大国と言われている日本。街の至るところに設置されている自販機は、治安の良さを示すパロメーターとも言われており、現在はドリンク以外の多種多様な自販機を見かける。だが、意外に思われるかもしれないが、近年日本では自販機の数が激減している。

 自販機の業界団体、日本自動販売システム機械工業会の統計によると、2000年の560万7500台をピークに減少。24年時点の国内における自販機の台数は391万300台と3割もへっている。ちなみに14年の時点では503万5600台あったため、わずか10年の間に110万台弱の自販機が消えたことになる。これはもはや軽視できないレベルだ。

 その原因について自販機業界に詳しい経済誌記者は次のように分析する。

「人口の減少に伴い、需要そのものが頭打ちになっており、1台あたりの収益性が下がってしまったんです」

 また、コンビニコーヒーが台頭したことも大きく影響しているという。

「各チェーンで値段は多少異なりますが、ホットコーヒーは小さいサイズだと1杯120~140円。自販機の缶コーヒーと同じ価格帯です。また、コンビニではペットボトルのコーヒーやお茶もPBブランドの商品が置いてあり、大容量のものが安く買える。競争力という点で自販機が劣るのは否めません」(同)

 しかし、このまま自販機業界が衰退の一途を辿ると判断するのは早計とか。実は、日本の自販機業界はドリンク類に特化しており、食品類の販売機は極端に少ないからだ。

「規模で言うと、飲料系の24分の1しかありません。でも、食品の無人販売所は近年急増しており、設置コストの問題はあるにせよ潜在的な需要はあります」(同)

 今後はいかに飲み物以外の自販機をいかに増やすか、それが生き残りのカギを握ることになりそうだ。

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