ここがヘンだよ「全国トンデモ条例」20(1)4月から喫煙で過料3万円

 ATMの前で高齢者の携帯電話の使用が禁止され、定食屋の店員に文句を言いすぎたら名前がネット上に晒されるなんて、あんたの住んでいる町は大丈夫かいな!? 自治体はローカルルールで市民を縛りつけるばかりでは、安らぎの里は一体どこにあるのやら。ビックリ仰天! おらが町のトンデモ条例はこんなにあったのだ。

 3月24日、大阪府議会で全国初の条例改正案が全会一致で可決された。

 特殊詐欺の被害防止に向けて、8月から府内のATMの前で、65歳以上の高齢者が携帯電話で通話することが禁止になり、金融機関などATMの事業者には、必要な防止措置を義務づけることになったのだ。

 大阪在住で「対象者」に該当するジャーナリストの大谷昭宏氏はこうブッた斬る。

「簡単に言えば、余計なお世話ですよ。65歳以上が必ず特殊詐欺に引っかかるわけじゃないですから。例えば、春の入学シーズンに孫が上京する際に、おじいちゃんが賃貸物件の初期費用を立て替えるため、ATMの前で携帯電話を使用しながら振込先を教えてもらうとします。その途中にスタッフが注意してきたら、お祝い事にケチをつけるなと、文句を言いだす人もいるかもしれない。それで今度はカスタマーハラスメント(カスハラ)だと言われたら、たまったものではありませんよ」

 また、70歳以上は過去3年間にATMで振り込みを行っていない口座は、振り込める1日の上限額を10万円に設定することが義務づけられた。

 一方、事業者にとっても負担は大きい。見た目だけでどうやって該当する高齢者だと判断するのか。無人のATMも点在し、すべてにスタッフを配置できるのか。罰則はないとはいえ、余計なトラブルを引き起こすのは時間の問題だろう。

 大阪・関西万博の開幕を目前に控え、たばこ関連の〝駆け込み〟条例が制定された。1月27日から大阪市内全域で路上喫煙が禁止となり、違反者は過料1000円が徴収される。

 4月1日には、府は改正受動喫煙防止条例を施行。客席面積30平方メートルを超える飲食店は、喫煙専用室を設置しないかぎり、屋内禁煙になった。違反すれば喫煙者は3万円以下、飲食店は5万円以下の過料が科せられる。

 大阪市の横山英幸市長は喫煙所について、

「350カ所の設置が進められてきた」

 と説明している。だが、市が公開している喫煙所のマップを見ると、1軒のパチンコ店で7カ所も登録されたり、店舗利用者しか使用できない場所も多い。空白エリアも目立ち、確保している数字以上に、居場所を奪われた〝喫煙難民〟が続出していた。

 ダブルパンチの条例の弊害について、大谷氏はこう指摘する。

「たばこを国が禁止にしていれば別ですが、喫煙者の権利を守らなければいけません。店内で吸えなくなり、路上でも禁止になり、いかにも悪いことをしているような印象を抱かせ、ある種のいじめに近いものがあります。店側も喫煙者のお客さんが減れば死活問題になるでしょう。メディア各社でアンケートを取れば、大阪・関西万博に『行きたくない』の回答が多い不人気ぶりが目立つ中、条例によって地元住民の暮らしは窮屈になるばかりで、迷惑でしかないのが本音ですよ」

 万博で景気浮揚どころか、商いも下り坂か!?

(つづく)

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