「ブラック企業のほうがマシ」海外特殊詐欺グループ「闇バイト」の実態

 11月8日にはカンボジアから日本へ移送中の機内で、同14日にはタイから移送中の機内でそれぞれ逮捕された特殊詐欺グループ。ここ数年、この両国に加え、フィリピンでは日本人特殊詐欺グループの摘発が相次いでいる。

 だが、これは氷山の一角に過ぎず、他にも数多くのグループがこれらの国を拠点にしている可能性が高い。メンバーは闇サイトなどで集めたと言われているが、特殊詐欺事情に詳しいジャーナリストは「実は、逮捕されたことにホッとしている者も多い」と語る。

「募集の際は高額報酬を謳ってますが、現地到着後にパスポートやスマホを没収。逃亡できない状態にして仕事部屋を兼ね、コンドミニアムの一室などに軟禁し、自由に外出することもままならないからです」(ジャーナリスト)

 しかも、主犯格や幹部には暴力団関係者や半グレなど反社勢力に属する者も多く、過去に現地当局に摘発された映像などには手足にタトゥーが入っている者もいた。

「集めた連中が逆らわないように脅し、1日10時間以上の長時間労働を強制。なかにはノルマが達成できなかった場合、ペナルティとして殴る蹴るなどの暴行を繰り返していたグループもあったと聞いています。そもそも犯罪行為ですし、労働環境としてもブラック企業のほうがまだマシです」(前出・ジャーナリスト)

 最近は各国の治安当局も自分たちの国が特殊詐欺の拠点に使われることを問題視しており、捜査にかなり力を入れているという。摘発されるリスクは数年前に比べるとかなり高くなっているそうだが、それでも人手集めはそこまで苦労していないとか。

「闇バイトで仕事を探そうとする時点で借金を抱えているなどワケアリの奴らが多い。それに、あくまで一部のケースながら働きぶりが評価されて幹部に昇格する者もいます。まあ、それでも常に現場にいますし、逮捕要員であることには変わりないですけどね」(前出・ジャーナリスト)

 やはり真面目に働くのがいちばんのようだ。

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