「あと10年も経つと(米を)作る人がいなくなる」「今まで30年も米価が上がってない」「時給10だぜ、考えられる」
米農家の悲痛な声を伝えたのは4月6日放送のTBS系「サンデーモーニング」。3月30日、東京都心で“令和の百姓一揆”と銘打った大規模なデモが行われた。冒頭はデモに参加した米農家の70代男性の言葉だが、この窮状を受けてスタジオのコメンテーターが徴兵制ならぬ「徴農制」の導入を提言して、物議を醸している。
政治評論家の寺島実郎氏は「トライしていることがある」と前置きして、「いったんこういうものに関わると人生が変わりますね。食べ物の有難さが身に染みて、強く関心持って行動が変わってくる。これやらなきゃダメだ」と語った。その後、ジャーナリストの元村有希子氏は「寺島さんの話を聞いて思い出したんでけど」と述べてこう続けた。
「脚本家の倉本聰さんが徴兵制ならぬ徴農制を取り入れたらどうかって提言しておられたことがあって、つまり若い人が若い時期の1年間なり2年間を強制的でもいいから農業に従事する。それによって自然の尊さ、大変さ、食の有難さがわかるっていうことは長期的に見たらいいことなんだという」
その後、元村氏はパレスチナ自治区ガザでパン屋が閉まって空になっている点に触れ、「今のガザが実はいつかの日本になるかもしれないっていう意味では食糧安全保障なんですよ」と述べて農政の立て直しを訴えたていたが、「徴農制」というワードに多くの視聴者が反応。《年齢関係ない、アンタもやれよ》《憲法18条を知らんの?》《北朝鮮みたいな独裁国家じゃないんだから…》といったツッコミの声が寄せられていた。
「国民を強制的に農業に従事させる徴農制といえば、70年代にカンボジアのポル=ポト政権による極端な重農政策が思い起こされます。『農業主体の共同社会』を掲げてすべてのプノンペン市民に向けて市外退去命令を発令。農村部に強制移住させたのです。北朝鮮でも都市部に住む市民を強制的に帰農させるという政策が取られてきました。元村さんはあくまでひとつの案として“徴農制”を挙げたのですが、都市部でも人手不足が叫ばれているだけに、視聴者の反発は避けられなかったようです」(メディア誌ライター)
若者がすすんで農業を選択できるように、「時給10円」という農家の惨状を改善すべきかもしれない。