ミャンマー地震、日本企業施工は無傷なのに…中国建設ビル「崩壊」にタイ首相激怒!

 3月28日に発生したミャンマー中部を震源とする大規模地震から4日。生存率が急激に低下すると言われる「発生から72時間」を経過した今も、インドや中国など各国が派遣した救助隊による懸命な救助活動が続いている。

 同31日の時点でミャンマー国軍により発表された死者数は2056人で、負傷者の数は3900以上。ただ、米地質調査所(USGS)よれば、今後もミャンマーでは救助の難航が予想されるため、国内での死者は1万人を超える可能性もあると予測している。

 一方、隣国タイでも甚大な被害が出ており、首都バンコクでは建設中のビルが倒壊。タイ警察によると13人の死亡が確認され、74人が行方不明(同31日時点)だと伝えている。いう。外信部記者が語る。

「中国経済メディア『財新』によれば、崩壊したのは中国国営企業の中国鉄道工程グループ(CREC)系列の建設会社『中鉄十局』のタイ子会社と、イタリア・タイ開発(ITD)が施工を担当し、バンコクに建設中だった33階建てビル。建築総面積は約9万4000平方メートルで、地上33階建て(高さ137メートル)のオフィス棟と5階建ての駐車場を建設する計画で、中鉄十局はHPでも同社が海外で初めて手がける超高層ビルとして紹介するなど、大々的に宣伝していました」

 ところが、地震で倒壊した後すぐ、同社のSNSアカウントから、このビル建設に関する情報が削除されており、30日にはタイのペートンタン首相がこのビルの設計、承認、施工に至る経緯を調査する専門家調査委員会を立ち上げ、1週間以内に報告書の提出を指示したと報じられている。

「ペートンタン首相は声明で『バンコクのすべての建物には法律に規定された耐震設計があり、多くの建物に何の問題も起こさなかった。したがってこの建物には調査が必要になる』としており、中国側にも調査に協力してほしい意向を伝えたようです」(同)

 ところが、そんな中、事故直後に崩壊現場に立ち入り、文書を持ち出した中国人4人がタイ警察に逮捕、身柄を拘束されたことが地元メディアの報道により明らかになった。

 報道によれば、4人の男は崩壊現場から青写真と文書32件を持ち出したとされ、男たちの雇い主も告訴されたが、今後、警察は押収した文書とビル崩壊との関連を調べ、関連したすべての当事者を尋問する予定だと伝えている。

 今回の崩壊事故を受け、専門家の多くが「本来はありえないことだが、中国企業が資材の品質が低く、耐震性を十分考慮していなかった可能性がある。耐震基準などの見直しが必要だ」と指摘。タイの建築関係技術者らによって構成されている「エンジニア協会」関係者らは、「日本企業が施工したビルは崩壊どころか、大半がまったくの無傷だった。調査に際し、ぜひ日本のような知見がある国に助言を求めるべきだと述べた」との声も多いようだ。

 前出「財新」によると、このプロジェクトは「中鉄十局」のタイ子会社とイタリア・タイの合弁企業が受注したものだが、ビル建設は中国国営企業が担い、進ちょく状況は30%ほどだったという。

 はたして崩壊の原因はどこにあるのか。そして、突如中国企業のHPからビル建設の関連情報が消えた理由は…。謎が解き明かされる日は近い。

(灯倫太郎)

ライフ