ミャンマーに続いてクーデターが!? 大統領暗殺計画も浮上した危険な島国とは?

 日本の国会にあたる連邦議会の開会初日だった2月1日にクーデターが発生したミャンマー。アウンサンスーチー国家顧問など政府幹部らは拘束されて事実上の失脚。国軍による新体制となったが、国際的に孤立を深め、米国は経済制裁を行うことをすでに発表している。

 ただし、そのミャンマーから遠く離れたもうひとつの国で、今月クーデターが起きようとしていたことはあまり知られていない。その国とはハイチ共和国。中米カリブ海に浮かぶ、北海道の3分の1ほどの大きさの島国だ。

 同国政府は2月7日、クーデターの計画に関わったとして少なくとも23人を逮捕。その中には最高裁判事や国家警察幹部など司法や治安部門の幹部らが含まれていたという。

 結果的に未然に防ぐことができたが、後に明らかになった計画によるとクーデターはジョブネル・モイーズ大統領の身柄拘束ではなく、殺害を目的としていたことが判明。

 ハイチといえば、2005年に史上最大級の台風ハリケーン・カトリーナが直撃。2010年にはスマトラ沖地震(04年)を上回る31.6万人もの犠牲者を出したハイチ地震が発生し、今世紀に入ってから二度にわたる大災害で壊滅的な被害を受けている。それ以前からも決して豊かな国ではなかったが、現在は北中米のすべての国の中で最も貧しい国と言われている。

「いまだ復興には程遠い状況で、その原因のひとつが政府の腐敗。権力者を含め、ごく一部の富裕層が8割以上の貧困層を支配する体制が続いており、80年代までの独裁国家だった頃のほうがマシとさえ言われています」

 ハイチの現状をそう指摘するのは、中南米の情勢に詳しい国際ジャーナリスト。首都ポルトープランスでは銃犯罪や強盗、薬物事件が毎日のように多発しており、治安の悪さは世界でも上位のレベルだとか。

「街では複数のギャンググループが抗争を繰り返し、明らかに殺害されたと思われる死体が転がっていることも珍しくありません。世界には“リアル北斗の拳”と称される危険な街が複数ありますが、ハイチの首都も間違いなくそのひとつと言えます」(前出・ジャーナリスト)

 クーデターこそ実現しなかったが、実はミャンマー以上にヤバい国なのかもしれない。

(高島昌俊)

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