待ったなし!「南海トラフ地震」危険予測MAP(2)巨大地震が巨大地震を誘発する悪夢

 トラフとは、プレート同士の接触部で、海溝ほど深くない凹地のことだ。最も有名な南海トラフで発生した地震は、M8~9クラスの地震で沿岸地域に甚大な被害をもたらしたと言われる。今回、本誌が作成したマップをご覧いただければ、その震源域としてどのあたりが候補となるのか、おわかりいただけるだろう。

 マップは国立研究開発法人・防災科学技術研究所発表の最新データを元に作成した。地図上で色濃く示されているのは、今後30 年以内において「震度6弱以上」の極めて大型な地震の発生確率が高い地域だ。その数値は26%以上となっている。地震学の講師が言う。

「四国や関西、東海の沿岸部は、軒並み可能性の高い地域とされています。震源地がユーラシアプレートとフィリピン海プレートの重なる沖合あたりであれば、陸地と遠くてまだマシかもしれません。より内陸に近ければ、激震を被る地域はさらに広がるでしょう」

 では、南海トラフの直接的影響下にない他の地域で、大地震発生の可能性が高まっているのはなぜなのか。

 理由の1つは、大型地震は連動する可能性があるということだ。特に懸念されるのは、南海地震、東南海地震、東海地震の3つ。密接に関係し、過去にも連続して激震が発生している。

「東海地震は、南海トラフから続く駿河トラフの影響が大きい。大地震が発生すればプレートの動きに大きな影響を与えるので、震源地近くでまた別の大地震が発生しかねません。南海トラフが特に危険だと言われる理由は、こうした連動型地震を誘発するかもしれないからです。仮に1~2年程度の間隔で巨大地震が連続すれば、最初に地震が起きた地域における家屋の復興もままならず、二次被害、三次被害がどんどん広がっていくことも想定されます」(地震学講師)

 伊豆半島から東京湾近郊については、相模トラフからの強い影響が指摘されている。プレートの境界が陸地に近く、そこでの地震は首都圏直下型地震の引き金にもなりかねない。

「1923年(大正12年)に発生し、10万人超の死者・行方不明者を出した関東大震災も、相模トラフのひずみが一気に弾けたことで起こりました。この相模トラフだけならまだしも、すぐ近くの駿河トラフから、南海トラフとドミノ倒しのように大地震が連続発生する最悪の可能性も否定できません」(地震学講師)

 危険地域は本州や四国に限らず、北海道にも存在していた。道東の根室沖を震源地とする大規模地震が懸念されているのだ。

「地震調査委員会によれば、根室沖は南海トラフ同様、今後30年での発生確率が約80%と飛びぬけて高い地域。50年から70年周期で発生する確率が高いとされています。前回は73年にM7.4の地震が起きており、警戒が必要です」(地震学講師)

 十勝から根室、色丹・択捉諸島あたりにかけての地域は、南東側に千島海溝がある。千島海溝は太平洋プレートが北米プレートの下に沈み込んでできた日本海溝(茨城県沖から北海道・襟裳岬沖)とつながっており、そのため東北地方で連動型地震引き起こす可能性も、決してゼロではないという。

(つづく)

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