1月初旬からJR山手線のホームにカメラを構えた、いわゆる「撮り鉄」が増えたことに気づいた人もいるのではないだろうか。ホームに入線してくる列車にレンズを向け夢中でシャッターを押す姿に、そんなにすごい電車が走っているのかと疑問に思った人も多いはず。
彼らの目当てはE231系電車。現在、山手線の主力となっているE235系電車の1つ前の車両だ。02年に運用がスタート。17年にE235系が営業運転を開始すると徐々に置き換えが進み、今年1月いっぱいで完了。E231系は山手線から姿を消す。
その最後の雄姿を撮ろうと、撮り鉄が集結しているというわけだ。
「引退直前に写真を撮ったり、電車に乗る鉄道ファンを『葬式鉄』と言います。ただでさえ葬式鉄が集まるのに、今回は先頭車両に『ありがとう山手線E231系』と描かれたヘッドマークが掲げられたため、平日昼間から山手線の各駅に撮り鉄が集まりました」(鉄道ライター)
鉄道ファンが集まることで問題が起こることも少なくない。10年に209系が京浜東北線での運用を終えた時は、先頭車両に葬式鉄が集まり、一般の乗客に迷惑をかけたこともある。今回も列車の運行を妨げる事態が発生したようだ。
「1月20日のお昼過ぎ、渋谷と原宿の間で人が立ち入ったとして山手線の内回り、外回り共に運転を休止しました。E231系を撮ろうとした撮り鉄だったと言われています。JRはこれを問題視したのか、E231系の引退を前倒ししたそうです。撮り鉄は自分で自分の首を絞めたことになりますね」(前出・鉄道ライター)
一部の心ない鉄道ファンによって、何度も繰り返されてきたトラブル。なくなる日は来るのだろうか。