衰えるのは体だけではない。加齢で「心」にもガタがきてしまうようで、
「精神機能や認知機能にも低下が見られます。頻繁に友人らと飲み会や旅行に出かけていた人が365日、家からほとんど出なくなるのはよろしくない。代表的な症状として『今日が何月何日かわからなくなる』『周囲からいつも同じ話をしていると言われる』といったもの」
仕事をリタイアしたり家族や友人と死別したりと、社会的なつながりがどんどんか細くなってしまうのがシニア世代の常だが‥‥。
「孤独になると、うつ病や軽度の認知症になっても気づかれないまま生活してしまう。それだけに、心理的なフレイルは見逃されてしまうこともしばしば。前年よりも外出回数が減った自覚がある場合は、症状が進行している可能性が高い。今すぐに近くの医療機関で診察を受けてください」
予防策は「食事」「運動」「社会活動」の3本柱だ。
「筋肉を形成するタンパク質を積極的に食べるようにしましょう。朝ごはんで意識的に食べることをお勧めします。というのも、朝に摂取すると『筋肉量の増加に効果的』というデータがあるのです。豆腐や青魚を中心に積極的に食べるようにしてください。とはいえ、1回の食事で吸収できるタンパク質は決まっているので『食いだめ』はできません。朝昼晩のバランスも心がけましょう」
適度な運動とは、「じんわり汗をかく」程度のもので、
「週に3~4回のウォーキングや太極拳を推奨しています。外に出るのが面倒くさい人は、自宅で1日スクワット10回×3セットに取り組んでください。ほんの少し『キツイかも!?』と思える負荷まで回数を増やしてもOKです」
どれだけタイムパフォーマンスが悪かろうと、人と関わる時間が肝となる。
「友人と会う約束や地域のボランティア活動への参加をするようにしてください。自分と異なる背景の人と交流することで、様々な刺激を得られます。それが日常生活のハリ、ひいては何か悪いことに直面した時に支え合う社会的なつながりになります。結局、人間が1人で自衛するにも限界があるわけです」
古きよき共同体を思い出すべし。ピンピンコロリとはいかないまでも、健康体のまま天寿をまっとうしたい!
【「フレイル(虚弱)」チェックシート(15)】
セルフチェックで8点以上なら近くの医療機関へGO!
(1)朝ごはんを食べない 1点
(2)お茶や汁ものでむせ返ることがある 1点
(3)1日に1度も誰かと食事をともにしない 1点
(4)日用品の買い物以外で外出をしない 1点
(5)瓶のフタが外せなくなった 1点
(6)友達と呼べる他人がいない 1点
(7)裂きイカやたくあんを嚙み切れない 2点
(8)ちょっとした段差で転んでしまう 2点
(9)歩くスピードが遅い 2点
(10)会話中に聞き直すことが増えた 2点
(11)家族からテレビやラジオの音量が大きいと注意される 2点
(12)今日が何月何日なのかわからない 2点
(13)周囲からいつも同じ話をしていると言われる 4点
(14)15分以上歩くことができない 4点
(15)1人では立ち上がれない 8点