石破茂首相は、衆院選後に辞任した小泉進次郎党選対委員長の後任に、木原誠二選対委員長代行を昇格させることを決めた。自民党関係者が明かす。
「選対委員長となれば来年の参院選、都知事選と、党の趨勢を決める重要なポスト。それだけに木原氏への期待は大きい」
木原氏といえば、岸田政権下で官房副長官や党幹事長代理を務めるとともに、首相時代の岸田氏が難問にぶつかると必ず相談したという岸田氏の知恵袋的役割だった。別の自民党関係者が言う。
「木原氏が期待されているのは、選対委員長という仕事だけではない。木原氏は、国民民主党の玉木雄一郎代表と旧大蔵省で同期だったのです。過半数割れした自民党は、今や国民民主党頼みとなっていますが、政策のすり合わせや、話し合いの際、玉木氏をよく知る木原氏の存在は大きい。石破政権下で比重を増すことになるでしょう」
また、今春、ニューヨークのトランプタワーでトランプ次期大統領と面会した麻生太郎自民党最高顧問との関係も取りざたされている。金融関係者が明かす。
「長く財務相を務めた麻生氏は、旧大蔵、財務省官僚とも良い仲。一方、木原氏は大蔵OBに加えて、実兄がみずほフィナンシャルグループCEOなど、親戚筋に金融関係の要職を担う人も多い。そのため、麻生氏と木原氏との関係は良好といわれています。麻生氏は、石破氏のことは嫌悪するものの、日本を思う気持ちや、木原氏、そして岸田氏との関係から、最後はトランプ氏との橋渡し役となる可能性もあり得ます」
もっとも、政権内部を見渡せば、林芳正官房長官や小野寺五典政調会長に加え、今回の木原氏と、旧岸田派が主要ポストに鎮座することになった。石破氏側近が言う。
「こうなったからには、石破氏は仲間を増やして自分のカラーが出せるまでは、何を言われようと岸田氏の『下駄の雪』になるしかないよ」
政界で「下駄の雪」といえば、力を持った人物にとことんついていく者、という隠語だ。
国内では国民民主党に振り回され、海外ではトランプ外交への不安がつきまとう。足下を見れば旧岸田派ににらまれていて…。まさに内憂外患の石破氏。前途は波高し、か。
(田村建光)