果たして、岸田総理のベッタリ寵愛人事に対し、党内バランスの軋みは起きないものか。
政治アナリストの伊藤惇夫氏は「批判は起きない」としながら、こうも語る。
「今回の内閣改造では、茂木氏を幹事長に、萩生田氏を政調会長にそのまま留任させている︒党内バランスに軋みを生じさせないための内閣改造だったわけです。その意味では、政治的に有能な人材を各所に配するわけではなく、完全に来年秋の自民党総裁選での勝利のための内向きの内閣改造でしかなかった。じゃあ、何の不満も出ていないかと言えばそんなことはありません。『人事は不満の倍返し』という言葉があるように、どんなにバランスを重視した人事を行っても、人々の間に不満はたまるものです。その不満がいつ、どういった形で爆発するかは誰にもわからないのです」
ましてや、一連のスキャンダルの真相は藪の中。その当の本人を閣内から逃がして党の要職に据えるなど、総理大臣が雲隠れの手伝いをするようなもの。党内からの批判はくすぶっても、国民は納得するわけがない。
ジャーナリストの横田由美子氏も木原氏を手厳しく批判する。
「今回の内閣改造では“ドリル小渕”が批判の矢面に立っています。木原さんの支持者の中でも、ああならないようにキチンと説明責任を果たして、王道を歩んでほしいという声があります。このまま説明責任を放棄したままなら、木原さんもいずれは党幹事長にはなれても、総理にはなれないんじゃないでしょうか」
岸田総理あってこそ、木原氏は陰のパワーを発揮できるわけだが、その綱渡りの危うさを官邸キャップは切って捨てる。
「2人の関係は、愛なくして、利者の繋がりといったところ。つまり岸田総理と木原氏に個人的な結びつきは特にない。例えば、安倍元総理と岸田さんは、若手議員時代に向島の料亭で一緒に飲むという友達付き合いの関係があった。ところがこの2人にはそういった深い絆はない。今後、もはや不要と判断すれば、木原氏はバッサリ切られるでしょうね」
長男秘書官も官邸から去り、相談相手不在で孤立無援の総理は頼みの綱としているが、その関係も風前の灯か。
「今や永田町では秋の解散風が吹いている。木原氏はこのまま逆風吹くまま選挙戦を迎えれば、再び劣勢を強いられることは想像に難くない。さすがに国民の選択にまで“木原愛”の効力は影響することもないでしょうから」(政治部デスク)
スキャンダルのデパートと化した木原氏には、もはや逃げも隠れもできない“総決算”が待ち受けている。