どちらかといえば、女性よりも男性の方に症状が出やすいのも特徴だ。
「全体的に股関節が固くて体を上手に使えていない方が多い。それを補うために腰を過度に動かして負荷をかけてしまうからです。また、男性に多いガニ股も、お尻や太もも裏の筋肉を固くしてしまう。内転筋を使いこなせないので、下半身のアチコチに負担がかかることになるのです」
同様に、O脚や偏平足も筋肉に緊張をもたらすようで、
「総じて、足の指を使いこなせていない方が多い印象です。手の指は生活や仕事の至るところで使うと思いますが、足の指を意識して使うシーンはほとんどないでしょう。ですが、きちんと稼働させないと歩くために足首の力だけに頼ることになる。そうなるとふくらはぎがパンパンになるばかりか、足の裏が突っ張ってしまう『足底腱膜炎』の症状が出たりしてしまいます。心当たりのある方は、足の指でグーとパーを繰り返す練習をするのを推奨します」
下半身だけでなく上半身にも「宝の持ち腐れ」さながらに放置されたパーツがある。
「反り腰で腹筋を使えていないケースも多い。通常ならば、背骨が緩やかなS字カーブを描くのですが、反り腰の場合は急カーブ。そうなると腰に負荷が集中してしまいます。ベッドで寝た時にマットレスと腰の間に隙間ができる方は反り腰。その隙間を埋めるように骨盤を丸める動きこそが腹筋を使うイメージです。たぶん、意識しないと腹筋は使いこなせません」
もっとも、何気ない日常生活の中にも〝あぶない習慣〟が潜んでいる。
「お風呂をシャワーだけで済ませてしまうと、筋肉の緊張がほぐれません。きちんと湯舟に浸からないと、筋肉の深部まで温まらないため休まりません。また、適度な筋トレも欠かしてはいけません。筋肉量が減ってしまうと、相対的に体の各パーツにかかる負担も大きくなってしまいますからね」
軽症であれば、筋肉のハリやこむら返り程度の症状で済むが、症状が重くなると手術が必要になることもある。
「痺れを超えて焼けるような痛みが出てきたなら重症です。排尿・排便障害も併発するケースがあります。『膀胱直腸障害』ともいいますが、脊髄のトラブルになります。整骨院や整体院では対応しきれない『レッドフラッグ』という生命の危機に瀕した状態になります。また、坐骨神経痛から腓骨神経にトラブルを起こすケースもあります。脳からの神経伝達に障害が起こり、足首に力が入らずにブラーンとなってしまう『下垂足』の症状。こうなると足を引きずりながら歩くことになります」
軽々しく放置してはいけないわけである。
【坐骨神経痛チェックシート⑫】
セルフチェックで4点以上は近くの医療機関へGO!
①こむら返りになることが増えた 1点
②常にふくらはぎがパンパンに張っている 1点
③車の運転を1時間以上する仕事だ 1点
④デスクワークで背もたれにもたれがちだ 1点
⑤1時間以上立ちっぱなしの仕事だ 1点
⑥入浴をシャワーだけで済ませがちだ 1点
⑦和式便所に跨る姿勢が取れない 1点
⑧周囲から「猫背」だと言われたことがある 1点
⑨重たい荷物を運ぶ仕事だ 2点
⑩ガニ股である 2点
⑪反り腰である 2点
⑫足の指でタオルを摑めない 2点