【新連載】健康宅配チェックシート〈熱中症〉(1)経口補水液が“オイシイ”と感じたら危ない

 不要不急の外出は避けてください--。コロナ禍で叫ばれていたフレーズが災害クラスの「炎暑」で再燃! のっけから「釜茹で地獄」さながらの夏本番で、危険アラートが鳴りまくる。もはや、「俺は大丈夫」なんて慢心や過信は愚の骨頂に他ならず。取り返しがつかなくなる前に、チェックシートで己を振り返るべし!

 炎天下のコンクリートジャングルや通勤電車の弱冷房車で、体に変調をきたした経験はないだろうか。いずれもが、「熱中症」の症状かもしれない。

「医療法人松徳会松本クリニック」の松本和隆院長が解説する。

「強烈な日差しで熱せられた体の体温調節ができなくなったり、高温多湿の環境で脱水が起こり、体内の水分とミネラルのバランスが崩れたりして意識障害などの症状が現れます。かつては『熱射病』や『日射病』と呼ばれていたものが、現在は熱中症で統一されました。症状はⅠ度~Ⅲ度の3段階に分けられており、最も重度であるⅢ度の場合は入院が必要なケースもあるのです。後遺症のリスクもあり、甘くみてはいけません」

 今年6月に昨春から続いていた「エルニーニョ現象」が終息。これから秋にかけて気温が高くなりやすい「ラニーニャ現象」のフェイズに入る可能性が高いだけに、さらなる「酷暑」が予測されているのだ。

「代表的な初期症状は軽いめまいや立ちくらみでしょうか。汗をかくことで、体内の組織内に補充されていた水分がなくなります。その状態で水分を摂取しないと、血液の量が減少してしまい血圧も下がってしまう。十分な血液が脳に届かなくなることで、酸欠状態になります。また、手足のしびれや足をつることも初期に見られます。夏の高校野球で、投手が足をつって緊急降板する場面がありますが、『熱けいれん』と呼ばれる熱中症の症状の一つです」

 危ないのはアクティビティだけではない。就寝中の脱水サインにも要注意だ。

「夜中に目が覚めて飲む水分がおいしい場合は、脱水症状が進んでいる証拠です。とりわけ、スポーツドリンクの味が濃く感じるのであれば、体内のミネラルが不足している可能性が高い。逆に体内のミネラルが十分にある状態なら、少ししょっぱいと感じますからね。いわゆる『経口補水液』の味がおいしいと危険なんです」

 人間は寝ている間に、約200ミリリットルの汗をかくと言われている。例えば夜中にトイレで目が覚めたら、コップ1杯分の水分補給がノルマとなるのだ。

「たびたびオシッコで起こされるのを嫌がってはいけません。高齢者の中には、こまめに水分を口にする習慣のない人も少なくありませんから、注意していただきたい。ちなみに、起きている時間を含めて、おしっこの色が濃い場合は脱水が進んでいる可能性を疑うべきです」

 喉の渇きを放置して、いいことなど一つもないのだ。

*(2)へつづく

【熱中症チェックシート⑫】

Ⅰ度は涼しいところで水分&塩分補給、Ⅱ~Ⅲ度は今すぐ119コール!

①めまいや立ちくらみがあるⅠ度
②手足がしびれてきたⅠ度
③外出時にこむら返りを起こしたⅠ度
④夜中に目が覚めて飲む飲料水がおいしいⅠ度
⑤オシッコの色が濃くなったⅠ度
⑥顔の赤みが引かないⅠ度
⑦たくさん寝たのにアクビが止まらなくなったⅠ度
⑧風邪をひいていないのに平熱より1~3度高い熱が出たⅡ度
⑨急に落ち着きがなくなったⅡ度
⑩物事に集中して取り組めなくなったⅡ度
⑪眠るように意識を失ったⅢ度
⑫けいれんを起こしてしまったⅢ度

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