銃撃事件が「強運と不屈」の象徴に! バイデン大統領を追い詰める“確トラ”の大波

 秋の米大統領選まで4カ月を切る中、米東部ペンシルベニア州での選挙集会中に起きたトランプ氏銃撃事件。奇跡的に弾が頭部を直撃することはなかったが、弾は右耳上部を貫通し、トランプ氏の顔は流れる血で赤く染まった。

 トランプ氏暗殺を企てたのは20歳のトーマス・クルックス容疑者。介護施設に勤務していたものの、高校ではいじめに遭い、1人で行動することが多かったという。同容疑者は現場にいたシークレットサービスに撃たれて死亡したため、政治的動機があったのかどうかなど真相究明はできない状況にある。

 ただし、今回の銃撃事件は、大統領選の行方に大きな影響を与えそうだ。まず、トランプ氏は銃撃され身を屈めた後に立ち上がり、まだ犯人確保の情報がないにもかかわらず、右耳から血が流しながら右手の拳を高々とあげた。この極めて象徴的なポーズは米TIME誌の表紙にも採用され、暴力に屈しない強いリーダー像を支持者に示した。あってはならない事件だが、間違いなくトランプ氏にとって追い風となっている。

 一方のバイデン大統領は、NATO首脳会合の席でゼレンスキー大統領をプーチン大統領と言い間違え、ハリス副大統領をトランプと呼ぶなど、認知機能への不安が深刻になっている。これまで苛烈なトランプ批判を展開してきたバイデン氏だが、さすがに今回の事件でトランプ氏を責めることはできず、「政治的暴力は一切受け入れられない」とコメントするのみだった。国民向けの演説には覇気がなく、劣勢は明らかだ。

 バイデン大統領は今後も、お得意のトランプ批判をしづらくなるだろう。相手は“強さの象徴”になっており、今は情緒的にもトランプ攻撃を展開できるような状況ではない。仮に、バイデン大統領がこれまでのように政策論争を超えて個人攻撃を展開すれば、かえって負の作用となって跳ね返ってくる可能性が高い。

 今回の「トランプ氏暗殺未遂」は“もしトラ”を“確トラ”に変える、歴史的事件として米国史に刻まれることになるだろう。

(北島豊)

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