トランプ大統領が着々進める裏切り者への「報復」がえげつない

 ついに「トランプ2.0」が始動したわけだが、これまでの“敵”や、“味方”だったが裏切った人々への復讐も同時に動き出した。

「トランプ氏が大統領に就任して数日の間に、第1次トランプ政権での同朋ながら離反した元高官への警護を次々と打ち切り始めました。国務長官を務めたポンペオ氏、イラン担当特別代表のフック氏、大統領補佐官だったボルトン氏などです。そこに1月24日には、当時のコロナ対策を指揮した国立アレルギー研究所所長に就いていたファウチ氏も加わりました。彼らが殺害予告を受けるなど、脅迫に晒されているにもかかわらずです」(外信部記者)

 またアメリカ議会襲撃事件で有罪となった1500人の恩赦を実行、同時にこの捜査に当たった司法省の職員10人を解雇。解雇の理由は、トランプ氏の政策を忠実に実行できるか「信頼できない」というものだった。

 もっとも、トランプ氏の“復讐劇”は今に始まった話ではなく、1期目の退任後から始まっていた。

「中間選挙を翌年に控えた21年6月には遊説を再開させオハイオ州を訪れ、この時などは政敵の追い落としとして話題になりました。現職は共和党議員だったのですが、議会襲撃事件に絡んだトランプ氏の弾劾訴追で賛成に回った下院共和党議員10人のうちの1人でしたからね。つい最近においても、カナダのトルドー首相の辞任はトランプ氏がその引き金を引いたと言っても過言ではない。両者が18年にカナダのケベック州で開催されたサミットで犬猿の仲になったのは有名ですが、トルドー辞任の原因は、トランプ氏がカナダとメキシコに25%の追加関税を課すと言い出したことへの対応で起きた、政権内の対立が発端でしたから」(同)

 大統領選挙でトランプ勝利が決定した昨年11月、米メディアはトランプ氏の「復讐リスト」なるものが出回ったと伝えた。その真贋はともかく、最大の敵だったバイデン前大統領は1月15日に退任演説を行った際、“家族の危機”にも言及していた。確かに復習のためにはどんな手を繰り出してくるか分からないトランプ氏。現在のアメリカでは、あくまで民主・合法的な“粛清劇”が進行している。

(猫間滋)

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