トランプ政権の対中半導体輸出規制、同調圧力で試される石破首相の決断力

 トランプ米大統領が世界経済に激震を与える動きを見せているが、今後は中国への半導体輸出規制をバイデン時代以上に強化し、日本に対して強硬な同調圧力をかけるとみられる。

 トランプ政権は、中国の技術革新を抑え込むため、先端半導体や関連技術の輸出を厳しく制限する政策を打ち出しており、その矛先が同盟国である日本にも向けられている。具体的には、日本企業が米国の規制に全面的に協力しなければ、徹底的な対日制裁関税を課すという脅しが石破茂首相に突きつけられている。

 トランプ氏の意図は明白である。中国の軍事・経済的台頭を阻止するため、半導体サプライチェーンにおける日本の役割を自国の戦略に組み込むことだ。日本は半導体製造装置や素材で世界をリードする地位にあり、米国の対中政策にとって不可欠なパートナーと見なされている。しかし、石破首相がこの要請を快く受け入れなければ、日本経済は未曾有の危機に直面する可能性がある。トランプ政権は、過去にも鉄鋼・アルミニウム関税や自動車関税をちらつかせて日本を牽制した経緯があり、今回はその再現以上の強硬姿勢が予想される。

 米国側は、日本の半導体関連企業に対し、中国への輸出を即時停止するよう求める具体的なリストを提示していると報じられている。これには、東京エレクトロンや信越化学工業といった業界大手が含まれる。もし日本が拒否した場合、トランプ氏はアメリカ第一主義を掲げ、日本製品全般に25%以上の高関税を課す準備もあるという。さらに、為替操作国指定や金融市場への圧力といった追加措置も検討されているという。こうした制裁が現実となれば、日本の輸出産業は壊滅的な打撃を受け、株価暴落や失業率急上昇は避けられない。

 石破首相は難しい立場に立たされている。国内では経済界から、「米国に従えば中国市場を失う」との懸念が噴出しており、対中関係の悪化を恐れる声も根強い。一方で米国との同盟関係を損ねれば、安全保障面でも深刻な影響が出かねない。トランプ氏の交渉スタイルは妥協を許さない強引さが特徴であり、過去の首脳会談でも日本側が譲歩を強いられた事例は枚挙にいとまがない。石破首相が受け入れる姿勢を示さなければ、トランプ氏の報復は容赦ないものとなるだろう。

 日本政府内では、既に米国への対応策を巡る議論が過熱している。経済産業省は、半導体輸出規制への部分的協力と引き換えに、制裁回避を模索する案を検討中だ。しかしトランプ政権は中途半端な妥協を認めない可能性が高く、全か無かの選択を迫られている。国民の間でも、「米国に従うべき」「いや、中国とのバランスを保つべき」と意見が割れており、石破政権の決断が日本経済の命運を握る。

 トランプ氏の脅しは、日本にとって単なる外交圧力ではない。制裁関税の嵐が現実となれば、中小企業から大企業までが連鎖倒産に追い込まれ、国民生活は疲弊する。決断の時は刻一刻と迫っている。

(北島豊)

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