世界中が驚いたであろう、日本時間7月14日午前7時15分に起こった、アメリカ東部ペンシルバニア州で行われていた集会演説中でのトランプ前大統領銃撃事件。そして世界中の人が目にしたのが、SPに囲まれながら右耳上部から血を流したトランプ氏が「俺は不死身だ」とばかりに右拳を高々と掲げる背後で星条旗がはためいているという、まるで絵に描いたような写真だ。
歴史を収めた報道写真として今後、燦然と輝くであろうこの瞬間を見事この構図で収めたのが、エヴァン・ブッチ氏という、AP通信主席カメラマンとしてワシントンを中心に活動する報道カメラマンだ。
「ブッチ氏について、その道の人なら知らない人はいません。なぜなら20年5月、白人警官が黒人男性に暴行を加えたことで死亡した事件に対する抗議行動を撮影し、AP通信チームの一員としてピューリッツァー賞速報写真部門を受賞している人物だからです。10万人以上のフォロワー数がいるインスタやⅩでも活動を行っていて、まるでアメリカ政治の現場が再現されたようなアカウントになっています」(全国紙記者)
さすがにあのインパクトある写真を収めただけにタダ者ではなかったわけだが、その活動を支えていたのは、実は日本のメーカーの技術力によるものだった。ブッチ氏が用いたカメラと望遠レンズはソニー製品だったからだ。
「AP通信では20年7月から、記者が使用するカメラとビデオはソニー製のものに統一されているんです。そして実際にブッチ氏が用いていたカメラはソニーの『α9Ⅲ』というモデル。市場価格ではおよそ88万円前後するものです」(同)
23年11月に発売されたモデルで、新型センサー搭載の8万分の1秒という高速シャッター、連射は毎秒120コマの優れモノなのだとか。また望遠レンズは、正規価格でおよそ28万円。合わせると100万円をゆうに超えるので、アマチュアカメラマンには高嶺の花か。
(猫間滋)