ここ数年、全国的に目撃情報、襲撃被害の件数が急増し、大きな社会問題となっているクマ問題。頼みの綱だったはずの猟友会は高齢化などで人手不足。彼らの多くは本業が別にあり、自治体からの要請があっても即座に対応できるとは限らない。
重要なのは農作物や家畜に被害を出さず、市外地への侵入を許さないことだが、クマ撃退に絶大な威力を発揮すると農家や自治体関係者が期待を寄せるアイテムがある。それが「モンスターウルフ」だ。
体長120㎝、高さ80㎝の狼型ロボットで、搭載された赤外線センサーが野生動物の接近を感知すると、約90デシベルの大音量で威嚇。さらに首を左右に振り、目と尾の部分のLEDライトが激しく点滅するという。それも音声は50種類以上とバリエーション豊富だ。
「野生動物は基本的に憶病で、大きな音や強い光は苦手です。そうした修正を利用したものでシカやイノシシだけでなく、クマの撃退にも成功。販売総代理店のウルフ・カムイ社のユーチューブチャンネルでは撃退動画の数々を公開しています」(農業専門誌記者)
経済産業省、国土交通省、厚生労働省、文部科学省が連携して表彰を行う「第8回ものづくり日本大賞」で、ものづくり地域貢献賞を受賞。現在、約250台が全国各地の自治体で実戦配備されている。
また、CNNやBBCなど欧米メディアでも紹介。そのため、日本だけでなく海外からも多くの問い合わせが寄せられているそうだ。
「しかも、ふるさと納税の返礼品にもなっています。寄付金が1台185万円と高額ですが、それ以上に驚いたのは、ヒグマ駆除の報酬額が安すぎて猟友会からそっぽを向かれた北海道奈井江町の返礼品であること。開発・製造元の太田精器はこの町の会社なんです」(同)
猟友会に頼れない今、自治体はモンスターウルフを大量に設置して人里への侵入を防ぐしかないかも。