現在、メディアやネット上を賑わせている北海道の猟友会によるヒグマ駆除の出動拒否問題。これは、18年に砂川市で自治体の要請により警察官立ち合いのもとでヒグマ駆除にあたった地元猟友会のハンターが、後に北海道公安委員会から「弾丸が周囲の住宅5軒に到達する恐れがあった」として狩猟免許を取り消された件に端を発する。
不服としたハンターは処分の撤回を求め、一審ではハンター側が勝訴。ところが、10月に行われた二審では敗訴となり、これを受けて猟友会側が今後の出動拒否の意向を示した、というものだ。
これについて一般社団法人北海道猟友会は、11月14日にホームページ上で《従来から行っている市町村からのヒグマの駆除要請については、誠実に対処することとしており、現時点でその方針に変わりが無いことを、報道機関に申し入れいたしました》と一連の報道を否定。だが、その後も出動拒否の報道は続いており、騒動が沈静化する気配は見られない。
「現時点では発表の通りですが、今後どうなるかは分からない。ヒグマの脅威から地域住民を守りたい気持ちがある一方、公安委員会と免許取り消しを支持した二審判決に憤りを覚えるのも事実。一緒にいた警察官の許可を得て発砲しても免許取り消しじゃ割に合わなすぎる」(猟友会所属の道内在住のハンター)
このハンターは健康上の不安などを理由に、現在は駆除活動に参加していない。ただし、「元気だったとしても要請に応じたかは分からない」と本音を漏らす。
「相手は陸上じゃ最強の一角に数えられる生物で、猟銃を持っていても不利なのは人間。実際、襲われて負傷したハンターはこれまで何人もいて、命を落とした者だっている。公安委員会がやっているのは、命懸けで駆除に当たる我々を後ろから撃つようなもの」(同)
今年5月には奈井江町で報酬が低いことから地元猟友会が協力を拒否。命の代償としてはあまりに安く、そもそも駆除に協力してもらえるハンター自体が高齢化で確保が難しくなっている。駆除やそれに付随する枠組みについて見直す必要がありそうだ。