「不謹慎かもしれませんが、アレはヘタなタレントよりも視聴率を持っていますよ。ジャニーズ騒動や猿之助の裁判などもありましたが、思ったより数字は伸びない。上からはとにかく映像がほしいと言われています」
ワイドショーのスタッフが明かすのは令和のクマ騒動。10月中旬以降、秋田県、富山県で人がクマに襲われ、東京都でも多くの目撃情報が寄せられている。これを受けて、ワイドショーではこぞってクマ被害を特集。なかでも、23日時点で46件53人にのぼる人身被害が報告されている秋田県には、マスコミ各社のクマ担当班が大挙して押し寄せているという。今回の過熱報道について、地元猟友会関係者は困惑気味に話す。
「秋田県内には複数の猟友会が存在しますが、マスコミ対応ができるのはひと握り。とある猟友会は『せっかく東京から来たんだから』と厚意で取材に協力していたのですが、『映像をくれ』の一点張りで、どこから名簿を仕入れたのか、猟友会メンバーに直接電話をかけるマスコミも…。『もう取材には応じない』と憤慨する会員もいます」
地元猟友会がマスコミに「NG」を突きつけた理由について、前出の関係者はこう語る。
「クマを駆除するのはやむにやまれぬ事情があるからです。しかし、ワイドショーでは面白おかしくクマ被害を取り上げるだけで、本質には触れてくれない。先日、どこかの社が、クマの親子の映像を流したことで、保護団体が『クマを守れ』と猛反発。苦情の電話は役所だけでなく、猟友会にもかかってきますよ」
秋田県の佐竹敬久知事は、秋田県庁などにクマの駆除に対する抗議電話が殺到していると明かし、「仕事ができません。これ業務妨害です」と述べたうえで、乱暴な抗議には「ガチャンですよ」と電話を切るポーズを見せた。
「もっとも恐れているのは報道陣の無警戒ぶり。クマが目撃された場所をまわっているにもかかわらず、これといったクマ対策はしていない様子。あるクルーに話を聞いたら、クマよけのスプレーや刺股も用意していないとか。襲われたのは大半が高齢者とはいえ、時速50キロもの猛スピードで突進されたら、若い人でも対処できませんよ」(前出・猟友会関係者)
ミイラ取りがミイラにならなければいいのだが…。いずれにしても冬眠のシーズンに入り、クマ被害が落ち着くことを祈るしかない。
(倉田はじめ)