ツキノワグマ+ヒグマの“ハイブリッド”出没も疑われ始めた秋田・観光地の大打撃

 現在、クマの出没が大きな問題となっている秋田県。23年の目撃情報3723件、人的被害70名はいずれも過去最多。今年は6月14日時点で408件だが、昨年同様に人里やその周辺地域での目撃情報が多いのが特徴だ。しかも、5月には警察官2名を含む3名がクマに襲われて死傷している。

 また、農作物もクマによる大きな被害を受けているが、同じく深刻なのが観光客への影響。目撃件数が急増した昨年秋は宿泊客のキャンセルが相次いだが、県内の温泉旅館の担当者は「今年も夏場の予約は期待したほど埋まっていない。予約していたお客様からも複数のキャンセルがすでに入っている」と嘆く。

「秋田県内では十和田湖畔の遊歩道の一部をはじめ、玉川渓流や角館の武家屋敷通りに程近い古城山公園などの観光スポットもクマ出没を理由に現在立ち入りが禁止。特にクマの出没が多い内陸部は気軽に散策できるような状況ではなくなっています」(旅行誌編集者)

 5月には沿岸部に近い秋田市内の住宅地でも親子連れのクマ3頭が目撃され、市街地であっても油断できない。しかも、ツキノワグマにしては明らかに大きなサイズの個体も確認されており、専門家の間でもヒグマとのハイブリットを疑う声が出ているという。

「全国のほとんどの観光地は、激減したコロナ禍からV字回復を遂げていますが、秋田は伸び悩んでいる。同じ東北では宮城以外に青森や岩手も外国人には人気がありますが、彼らもクマを恐れているのか秋田を訪れる人は両県ほどいないようです」(同)

 ちなみに秋田県内のクマの個体数は、20年春時点で2800~6000頭(中間値4400頭)。実は、16年から約4倍となっており、現在はさらに増えているとも言われている。

「昨年以降、秋田新幹線や車とクマの衝突事故も急増しています。秋田県は乳頭温泉や玉川温泉など名湯が多く、八幡平や男鹿半島、白神山地に角館と自然・史跡の両方の観光名所が充実しています。ハイシーズンでも宿泊料金が意外と安かったりするため、そこは魅力とも言えますけどね」(同)

 自然の中でアクティブに楽しみたい方にはリスクが高そうだが、温泉宿でまったり過ごすスタイルの旅で、秋田の観光を支えたいところだ。

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