日本国内でもワクチン接種が始まり、経済活動は“アフターコロナ”を見据えたものに。その期待感を反映するかのように、日経平均は2月中旬に3万円の大台に乗り、3月後半も2万9000円台で推移している。
「新年度にあたって、新たな投資先をリサーチしている方も多いかもしれません。実体経済へ多大な影響があったコロナ禍をどのように捉えて投資先を選定すべきか悩ましいところですが、この期間をイレギュラーなものとするならば、今儲かっている企業にこそ、疑いの目を向けてみるべきです。とくに初心者は『この業界は儲かっている』と好調銘柄に飛びついて大損しないためにも、冷静な判断が求められます」(経済ジャーナリスト)
多くの業種に打撃を与えたコロナ禍だが、逆に追い風となった業種も少なくない。イレギュラーなコロナ禍で利益が上がった事自体はポジティブに捉えてもよいだろうが、今後感染が収束することを考えれば、一度フラットな目線で企業を見てみる必要がありそうだ。
「例えば、ドラッグストア業界を見ると、マツモトキヨシホールディングスがここ1年で3000円台から5000円台に高騰しているように、上場している企業の多くが増収増益、株価も右肩上がりの様相を呈しています。しかし、コロナ禍の収束に伴って消費者の来店頻度が低下し、さらに戻りが鈍いと予測されるインバウンド需要に売り上げを頼っていた部分をカバーできなければ、好決算を継続して出し続けることは難しいでしょう」(前出・経済ジャーナリスト)
巣ごもり需要の増加を追い風にした業種も注意が必要だ。ホームセンター業界、EC業界などはその代表格と言える。密を避けた余暇の過ごし方として人気が集まっているキャンプ用品を扱うアウトドア関連銘柄も同様だ。
「顕著なところでは、キャンプ用品を扱うスノーピーク。昨年の緊急事態宣言発令前は700円台だったのが、今年3月には3000円台に乗り、およそ4倍に高騰しています。コロナ禍でキャンプ用品をはじめて購入した人も多く、安定の人気ブランドと言えますが、同社の商品が高く評価されている理由のひとつはその耐久性。愛好家には『一生モノ』とも称されているので、キャンプ人口の増加が、いつまで売上アップに結びつくか、慎重に見極めたいところです」(前出・経済ジャーナリスト)
世界的な金融緩和、日銀によるETF買い入れなど複数の要因によって押し上げられた国内株式市場の株価が、今後どのような様相を呈するかは意見が分かれるところだ。
新規に投資をするのであれば、迷った時こそ、「株価と業績は連動する。よって業績のよい銘柄の株価は上昇する」という株式市場の原則に立ち返り、コロナ需要に浮かれることなく、継続的によい業績が見込まれる企業へ投資をしていくべきだろう。
(穂波章)