ココカラとの経営統合交渉権を勝ち取っても拭えないマツキヨの“不安材料”

 ドラッグストア業界7位・ココカラファインとの経営統合を巡り、スギホールディングス(以下HD)と激しい争奪戦を繰り広げ、ついに優先交渉権を得たマツモトキヨシHD。
 
「ココカラは外部有識者と社外取締役による特別委員会を設けてマツキヨとスギの提案を検討してきたそうですが、1500以上のプライベートブランドを持つマツキヨと組んだ方が今後の商品開発などで大きな効果があると判断したそうです」(経済誌記者)

 8月16日にはマツキヨとココカラの間で協議開始に関する覚書も締結されたが、マツキヨには懸念材料もあるという。

「ドラッグストア業界において不動の首位を守ってきたマツキヨですが、2017年にはイオン系のウェルシアHDに首位の座を明け渡すと、ツルハHD、コスモ薬品、サンドラッグにも売り上げで抜かれて業界5位に転落しており、急速なマツキヨ離れが進行している。これに歯止めをかけるには相当なテコ入れが必要な状況です」(前出・経済誌記者)

 そのため今回、ココカラに対しては「本当にマツキヨでいいのか」「スギと組んだ方が得策ではないか」とする業界関係者の声も多いほどなのだ。
 
「マツキヨはいま、確かに下がり目ではありますが、ズバ抜けた知名度の高さは変わらない。また過去にドラッグストアの『ぱぱす』を買収した経験もあることから、経営統合はスムーズに進むとの見方もあります。一方でスギは、創業者の杉浦広一会長が強力なリーダーシップを発揮していますが、一部でワンマン経営という捉え方もされている。ココカラは、そうした面が経営統合後に影響を及ぼすことを懸念したとも考えられます」(経済ジャーナリスト)

 いずれにせよ、マツキヨとココカラの独占交渉期間は来年1月まで。果たして、うまくまとまるか。

(小林洋三)

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