阪神ファンの「あと1人コール」がまたもや問題視されている。
6月5日の楽天戦(甲子園)で阪神は、8回まで2-1とリードし、9回表のマウンドに守護神の岩崎優が上がった。岩崎は先頭の小深田大翔にヒットを許したものの、続く太田光と石原彪を打ち取り2アウト。小郷裕哉をバッターボックスに迎えると、スタンドは「あと1人コール」の大合唱に包まれた。
ところが、小郷は3-1から140キロのストレートを振り抜き、スタンドギリギリとなる逆転2ランホームラン。阪神ファンの「あと1人コール」は一転、悲鳴へと変わった。結局、試合はそのまま楽天が勝利。SNS上では《あと1人コールとは一体何だったのか》と疑問の声が上がってしまった。
「あと1人コール」は他の球場でもよく見られていたが、今でも続けているのは阪神ファンだけだ。確かに、阪神ファンが発するあの大音声は、相手チームの打者にとっては相当なプレッシャーとなるはずで、それが遠因で勝利を獲得したケースもないとは言えないだろう。しかし、最近では《いい加減にやめたほうがいい》という声も相次いでいるのだ。
「阪神ファンが伝統的に行ってきたコールが『あと1人』であり、さらに、そこから2ストライクを取った時にコールする『あと一球』でした。とはいえ、スポーツマンシップの考え方が広まった現代では、『対戦相手に対して礼節を欠く行為』ととらえられかねません。しかし、阪神ファンは止める気配を見せておらず、コロナ禍による声出し禁止時に大きな問題になったのも記憶に新しいところです」(スポーツライター)
コロナ禍の真っただ中の2022年4月6日に行われた阪神対DeNA戦では、9回、2アウトをとると、伊藤将司の完封目前に「あと1人コール」がスタートした。迎えた4番・牧秀悟を2ストライクまで追い込むと、「あと1球」の大合唱。このマナー違反ぶりに、DeNAファンを中心に他球団ファンから苦情が殺到したのだった。ちなみに、試合は牧がタイムリーツーベースを放ち、阪神の大逆転負けとなった。
「その負けが尾を引いたのか、阪神はその後6連敗。あと1球コールから実に1075球後に、ようやく巨人に勝利しています」(前出・ライター)
あと1球が「あと1075球」に…。もちろん、こんな逆効果ばかりではないだろうが、コールの是非について阪神ファンは今一度考えるべき時期に来ているのかもしれない。
(ケン高田)