スペイン1部リーグのレアル・ソシエダードの久保建英のパリ五輪出場が完全消滅した。5月29日にJ1・東京Vとの親善試合(国立競技場)のため帰国している久保が取材に応じて「僕が(五輪に)どうしても行きたかったとか、そういう話もない」とあっさりしたものだった。
真っ青なのは日本サッカー協会(JFA)だ。パリ五輪の出場権を獲得したU-23(23歳以下)日本代表の大岩剛(ごう)監督は本大会での久保の招集を熱望していたからだ。
「久保の(パリ五輪に出場したいという)意思確認はしている」(大岩監督)と、JFAの担当スタッフがレアル・ソシエダードと粘り強く交渉を続けていた。JFAにとっては4年に1度のW杯と合わせて五輪も“ドル箱興行”のひとつ。
「五輪には賞金はありませんが、JFAでは成績によってスポンサーからのボーナスが加算されます。民放キー局では“久保は数字(視聴率)を取れる”選手という位置付けにある。その久保がパリ五輪に出られないとなるとJFAにとっては大きな痛手になります」(夕刊紙記者)
久保は6月もすでに消化試合になったW杯アジア2次予選のメンバーに招集された。6日のアウェーのミャンマー戦(日本テレビ)、11日のホームのシリア戦(フジテレビ)を生中継する放送局では「久保がA代表に招集されて正直ホッとした」という本音も。A代表国内の試合では1試合では2億円近い放映権料をJFA側に支払う契約になっている。
久保本人がパリ五輪出場を断念したことで今後多くの波紋を呼びそうだ。
(小田龍司)