日経平均また4万円超えか!ケンタッキー、ベネッセ「TOB活発化」のオイシイ話

 先日、ケンタキーフライドチキンを展開する日本KFCホールディングスが、米投資ファンドのカーライル・グループによって、株式の公開買い付け(TOB)で買収されるというニュースがもたらされた。すると「日本のKFCは世界でも一番美味いとされている。買収されて味はどうなるのか」などと、ファンをざわつかせた。

 今年はこのKFCの事例のようにTOBが活発化している。有名なところではベネッセホールディングスやキャンプ用品のスノーピークでTOBが行われ、5月には30社に達し、過去10年でもトップレベルの多さになっている。

「理由の1つが、東京証券取引所の改革にあります。22年4月には、それまで東証1部、2部、マザーズだった市場の区分を、プライム、スタンダード、グロースに再編。再編に伴って上場基準を厳格化し、株主数を増やす、株の流動性を上げるなどといった条件が課されるようになりました。その結果、上場を維持することのメリット・デメリットを考え、経営陣が自社の株式を買い取って(MBO)上場を廃止する選択をした企業が増え、TOBが活発化しているのです」(経済ジャーナリスト)

 また東証は再編に当たって、条件を満たしていない企業の上場維持を経過措置として認めたものの、その期限が来年5月に切れる。だから時期としても〝駆け込み〟で資本政策を変更する企業が多数現れているのだ。

 そこでM&Aの仲介企業が増加。3年連続で上場企業が誕生しており、現在は8社にまで増えている。また株主対策として、株式名簿には名前が現れないが〝実質株主〟を割り出すサービスを信託銀行が始めるなど、周辺ビジネスも活況を呈している。

 東証改革は投資家にとって魅力ある市場にするという目的もあり、株主にオイシイ話が最近は多い。

「東証では、株主還元を充実させるよう企業に求めていて、三菱UFJグループやNTTなどを始めとし、自社株買いが盛んに行われています。自社株買いは株価を上げるので、株主にとってメリットが大きい。配当政策を積極的に行う企業も増加しています。最近だと5月17日に東北新社が大型増配を発表。これまで19円だった配当を78円にまで引き上げました。その他、花王の35年連続やアルフレッサの19年連続など、連続増配を行う企業も多くなっています」(同)

 日経平均の4万円超えは、こういった事情も背景としてあった。そして今年は、前述した上場条件クリアの駆け込みの年。このところ3万円台後半を推移している日経平均だが、こういった諸事情を考えれば、年内にはまた4万円を超えそうだ。

(猫間滋)

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