W杯アジア最終予選(6月10日・吹田スタジアム/インドネシア戦)は、まさに“久保建英祭り”となった。
4日に24歳の誕生日を迎えた久保が、A代表として初めてキャプテンマークを巻いて先発出場。1ゴール2アシストを記録し、日本の6-0の大勝をけん引した。
試合後、久保は「僕らの実力不足や人気不足もあるとは思いますけど、ファン・サポーターの方の力で、もっと盛り上げてもらいたいです」と語り、スタンドの熱気がインドネシアサポーターに押されていたと感じた様子で“注文”をつける場面も。
このような率直なコメントは以前から見られたが、日本サッカー協会関係者によると「最近の久保は、スタッフにも気軽に声をかけるようになった。精神的にも大人になった」と、その変化を評価している。
今回の久保の主将起用は、森保一監督のマネジメントによるものだった。
「欧州組の主力(堂安律、板倉滉、南野拓実ら)は、あえて招集されませんでした。タケ(久保)にはチームリーダーとしての役割を担ってもらいたかったから、あえて彼を呼んだのです」(ベテランサッカー記者)
日本代表OBはこう付け加える。
「久保を活かすには、“10番を与えて、お前に試合をすべて任せる”くらいの割り切りが必要です。遠藤(航)も先発しながらキャプテンマークを久保に託しました。いかにもポイチ(森保監督)らしい采配です」
堂安や三笘薫といった、プレースタイルの似たアタッカーが同時に出場すると、どうしても久保の持ち味が消えてしまう――という判断も背景にあるという。
この試合はすでに突破が決まった最終予選の“消化試合”であったが、だからこそ「キャプテン久保」を試すには最適の場だったとも言える。
日本サッカー協会の宮本恒靖会長も、「ああいう責任を任されると、彼はさらに伸びる。確信しています」とコメントし、久保の成長に手応えを感じていたようだが、果たして本戦の久保の扱いはどうなるのか。注目される。
(小田龍司)