久保建英が新天地で開幕戦でのゴールを含め3試合連続先発と好スタートを切った。
W杯イヤーの今季、レアル・マドリードからレアル・ソシエダに完全移籍し、勝負のシーズンとなった。昨季までは、レアル・マドリードからレンタル移籍で他のチームでプレー。レンタルだと「借りてきた選手」「どうせ、いつかは帰って行く選手」と、チームメイトらから信頼を得るのは簡単ではない。完全移籍したレアル・ソシエダで結果を出さなければ、下位にチームかスペインリーグよりもレベルの低いリーグに移籍するしかない。だから勝負のシーズンなのだ。
しかも久保は、本来の右サイドやトップ下ではなくツートップの一角であるFWで起用されている。慣れないポジションではあるが、久保にとってメリットもある。サイドでプレーすると守備に戻らなければいけないが、FWなら守備の負担が減る。さらにペナルティ・エリアの近くでプレーできるから、彼の攻撃的なセンスが生きてくる。
日本代表における久保の序列は決して高くはない。本大会の登録人数は23人から26人に増えたことで、選出される可能性は高いが本番で起用されるかは未知数だ。しかし、「欧州組」で新天地を求めて移籍した南野、三笘ら、代表の主力になる選手がポジション争いで苦戦している状況だ。
そういう中での久保の活躍は明るいニュースだと思う。ただ、FWで大事なことは結果。結果が出なければ簡単にベンチに追いやられる。ゴールかアシストの数字を上げていくことが、レアル・ソシエダでの成功に近づくと同時に、決定力不足と言われる日本代表の攻撃の切り札になるのだが‥‥。
(渡辺達也)
1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップアジア予選、アジアカップなど数多くの大会を取材してきた。