久保建英がバルササポーターから浴びた「大ブーイング」という名誉

 スペインのマジョルカに所属する日本代表MF久保建英が12月7日、ラ・リーガ第16節のバルセロナ戦に先発フル出場し、ゴールの起点となる活躍を披露している。

 リーガ・エスパニョーラで首位に立つバルセロナの本拠地カンプ・ノウへ乗り込んだマジョルカは、この重要な一戦でも久保をスタメン起用すると、期待を背負った18歳MFは幾度かバルサ敵陣のバイタルエリアを脅かす鋭いパスを配給。右サイドでボールを受け、オフサイドラインギリギリで味方へ預けたパスはバルサの最終ラインにズレを生じさせ、FWアンテ・ブディミールの見事なヘディング弾を演出した。

 スペイン現地紙「MARCA」もこの日の久保を「マジョルカで突出した存在」だったと綴ると、地元メディア「Dialio de Majorca」に至っては若き日本人プレーヤーを「バルセロナにただ一人対抗できていた選手」と絶賛。最終的には2-5で敗れてしまったものの、久保の働きぶりには高評価を付けるメディアが多かった。

「なにより久保にとって大きな意義のある現象だったのが、カンプ・ノウに押し寄せた現地のバルセロナサポーターから大量のブーイングを浴びたことでしょう。久保は2011年から15年までバルセロナの下部組織に在籍し、“和製メッシ“との異名を付けられ、そのポテンシャルに期待がかかっていましたが、今夏にバルサにとって最大のライバルであるレアル・マドリードへ移籍したことで、スペインサッカー界では最も敬遠される“禁断の移籍“を果たしました。とはいえ、久保はバルサのトップチームでデビューした経験は無く、レアルでもスペインリーグへの出場はゼロ。しかも現在は期限付きでマジョルカのユニフォームを着ているのですが、そんな久保にも耳をつんざくようなブーイングが集まったというのは、いかにその将来が有望視されているかを物語っています」(スポーツライター)

 久保本人もバルササポーターからのヤジが聞こえたことについて「それは観客が選んだことであり、僕は僕なりの(レアルへ加入するという)決断を下した。彼らは僕にブーイングを飛ばす権利があるし、自分はそれに値する人間だ。彼らからはライバルと見なされる。未知数な18歳の少年とは見られない。そこには満足しているよ」と試合後にコメント。日本への帰還を挟んだものの、バルセロナからレアル・マドリードへ移ることの意味をしっかりと理解している。

 ゲーム中にはボールを受けるたびに指笛を吹かれ続けた久保だが、もはやバルセロナからは“期待の若手“ではなく、“憎き好敵手“として認識されているのだとすれば、それはあまりにも大きな勲章としてのブーイングだったと言えそうだ。

(木村慎吾)

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