サプリ大国に学ぶ失敗しない選び方(2)品質は自分でチェックできる

 米国のサプリメントメーカーは、自らの品質管理を積極的に公開している。売上高世界トップを誇る「ニュートリライト」ブランドの原料を栽培するワシントン州の農場では、カスケード山脈のミネラル豊富な水源のもと、原料の安全性やファイトケミカルスの含有量にもこだわって、すべての植物原料を無農薬のオーガニックで栽培している。

 広大な農場で、GPS駆動のハイテクトラクターと人手の二段階作業で除草し、水や土の成分検査も細かく行う。風味豊かな植物原料は種の仕入れからロットナンバーで管理されており、ブルーベリー1個がいつどこで栽培され、加工されたか追跡できるという。これらは815ページに及ぶcGMPのガイドラインのもと製造されている。

 医療費の高いアメリカでは、セルフメディケーションの考え方が根付いていることもあるだろうが、国民の7割がサプリメントを愛用する背景には、このように消費者が製品を信頼できる態勢が整っていることも大きい。ダイエタリーサプリメントの市場規模は2018年度で460億ドル(約4兆9000億円)にも達している。

 一方、日本では2015年、成長戦略の一環として、アメリカをモデルに「機能性表示食品」制度がスタートした。これまで「いわゆる健康食品」というカテゴリだった製品も、事業者の責任において科学的根拠に基づいていれば、パッケージなどに機能性を表示してPRできるようになった。

 日本の機能性表示食品制度は届出制であり、GMP認証はマストではないが、届出の内容を消費者庁のホームページから検索できる。
 
 情報は製品名や成分名、原材料名などから検索できるようになっており、その製品の機能性についての根拠(実際に試験を行っているのか、研究報告によるものなのかなど)が明示されている。安全性の評価方法も記されており、品質管理についてもGMP認定工場で作られている製品は、その旨、記載されているので、もし気になっているサプリメントがあればチェックしてみるといいだろう。

「健全なサプリメント市場が育成され、食生活の改善とともにサプリメントを上手に活用することができれば、医薬品使用の削減や医療費の削減にもつながります」
 
 そう語るのはサプリメント事情に精通するAIFN理事長の天ケ瀬晴信氏(広島大学シニア・リサーチ・アドミニストレーター)。

 日本でのGMPやcGMPに対する認知度はまだ低いのが現状だが、海外にサプリメント製品を輸出する際にはGMP認証が求められるため、導入する企業も増えていくと思われる。
  
 私たち消費者の側も、そうした品質管理や安全性をモノサシに、よりよいサプリを選んでいきたいものだ。

(健康ライター・伊勢洋平)

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