わざと自動車を損壊させ、保険金の不正請求をしていたビッグモーターの問題。最初は隠そうとしていた「故意」が明るみになると、ノルマ達成のために不正が行われた実態がボロボロと出て、国交省も事態を重く見て26日には事情聴取を行い、場合によっては道路運送車両法違反も問われかねない事態となっている。
「当初は兼重宏行社長の報酬を1年返上するとしていましたが、創業者オーナー企業なので『金が兼重社長個人に移るか会社に置いておくかの違い』『痛くも痒くもない』『ポーズだけ』と、かえって批判の声が高まりました。すると社長の『全社員の2%に満たない従業員』による『過去の不祥事』とするLINEが明らかになり、現場ではノルマ達成のために上司が部下を罵倒するLINEも流出。結局は25日に会見を開いて、26日付で兼重氏は社長を退き、和泉伸二専務取締役に代わるまでに追い込まれました」(社会部記者)
過去の企業不祥事でもなかなか類を見ないレベルの最悪の対策となった今回の始末。だがこの問題は保険金も絡むので、金融庁や消費者庁も動く可能性があり、ともすれば経営破綻するのではないかとの声も上がる。20日付の『日刊自動車新聞』によれば、昨年に今回の水増し請求問題が発覚したことで、今年1〜3月の間に1000人の社員が退社。もともとすぐ辞める社員が多く、常に人材募集が行われていて現在もその状況は変わっていないとのことだが、今後はもっと社員確保に苦慮するのは確実なので、こちらの方面から自壊するかもしれない。
そればかりではない。同社が抱えた火種は同業他社にも飛び火。業界そのものに対する偏見を助長している。
「ビッグモーターは、中古車販売最大手のIDOM(旧ガリバー)の第4位の大株主で、業界2位のネクステージは社長がビッグモーター出身のため、ネット上には『どこでも同じようなことがあるのではないか』と疑心暗鬼の声が上がっています。もともとが、ネットのクチコミではそれなりに不評が書き込まれがちな業界ですからね」(経済ジャーナリスト)
そうした声が正しいかはともかく、中古車業界の狭くて特殊な関係が垣間見られたのは事実で、今後さらにいろいろな問題が摘出されるかもしれない。
(猫間滋)