忙しいビジネスマンほど、どうしても偏りがちな食生活。野菜不足を補うためにビタミンを摂ったり、美容やダイエット、腸活サポートなどにサプリメントを活用する人が増えている。
だが、確信をもってサプリメントを選んでいる人が、どのくらいいるだろうか?
・国産の原料だから
・有名な先生がテレビで勧めていたから
・効果的な成分が入っているから
・ネットでの口コミが多いから
などといった理由で選びがちだが、これらは必ずしも正しいとはいえない。
中身が分かりにくいカプセルや錠剤のサプリを選ぶとき、まず意識すべきなのは安全性と品質だ。加工の途中で劣化したり、体内で溶けなかったり、表示通りの成分量に満たなかったりしては摂る意味がない。
少々専門的になるが、サプリの品質を担保する指標として「GMP認証」というものがる。GMPとは「Good Manufacturing Practice(適正製造規範)」の略で、いわば「原料の仕入れから製造・製品出荷にいたる全ての工程において、安全に作られ、品質が保たれるように定められたガイドライン」のこと。日本でも医薬品や医薬部外品を作る際には、GMP認証工場で製造されることが省令で定められている。
例えば医薬品で薬剤が間違っていたり、表示通りの成分が入っていなかったり、異物が混入したりすれば、重大な事故になりかねないため、GMPの義務付けは当然といえるだろう。
しかし、日本ではサプリメントが“食品”に分類されているため、GMP認証は任意。一方、アメリカではサプリメントが食品と医薬品の中間に位置する「ダイエタリーサプリメント」というカテゴリーに分類されており、GMP認証が必須となっている。
アメリカの各都市にはサプリメント専門ショップが町中に点在する。例えばポートランドに旗艦店のある「GNCグループ」の店舗では、〈関節サポート〉〈脳の活性化〉〈目の健康〉〈子ども用ビタミン〉、そして昨今トレンドの〈CBD(麻由来の沈痛成分)〉まで、医薬品のように目的別にサプリメントが陳列され、ジムで鍛えたマッチョな店員がアドバイスをしてくれる。
米国のサプリメントは、科学的根拠をもとに一定の機能性表示が認められているが、その分、FDA(米食品医薬局)という政府機関が安全で品質に問題ないか目を光らせ、GMPのガイドラインも常時更新している。そのためアメリカのGMPは「current=現行の」の意味で「cGMP」と呼ばれており、世界で最も厳しいガイドラインが課せられている。このcGMP認証を取得していない製品は販売できない仕組みなのだ。
(健康ライター・伊勢洋平)