消費者庁は2月4日、今ある食品の消費期限と賞味期限を見直す案を公表した。一言で言えば、今ある消費・賞味期限をもっと長くしようというものだ。
「これまで両期限の見直しを行うために有識者会議を重ね、その中で行われた議論を踏まえ、消費者庁が案をまとめました。3月頭までにパブリックコメントを募集して、最終的には3月中に新たな改正ガイドラインが示される流れとなっています」(全国紙記者)
なので新年度あたりから、昨日までは「食べられない」と捨てられていた食品が、「役所公認」で食べられる日数が延びることになる。その背景には、フードロスを削減する狙いがあった。
食品のパッケージには消費期限か賞味期限のどちらかを表示するように義務付けられている。だが、消費期限と賞味期限の違いが、どれだけ理解されているだろうか。簡単にいうと、消費期限は安全に食べられる日付、賞味期限は品質が変わらずおいしく食べられる期限でその日を過ぎても食べられなくなるというものではない。つまり前者は弁当や総菜などの生モノにつけられ、後者はカップ麺や缶詰などの保存食などに表示される。また、砂糖や塩、アイス、酒などでは省略できるものもある。
「現行のガイドラインだと、食品劣化の科学的根拠から日数を設定、そこに『0.8』を目安とした安全係数をかけて期限を出しています。今回の改正案は、この安全係数を引き上げ『1』に近づけようとするもの。仮に消費期限が製造日から10日までという食品があれば、これまでは8日だった期限が、9日か10日に延びることになります」(同)
昨日まで食べられなかったものが突然、行政お墨付きで食べられるようになるのも変な話だが、それだけ「もったいない」の精神がガイドラインに欠けていた、ということなのだろう。
(猫間滋)