高橋礼はソフトバンクではなく巨人だから覚醒できた“無双状態”の最大要因

 防御率は12球団トップの0.38。昨年11月にソフトバンクからトレードで巨人入りしたアンダースロー投手・高橋礼の無双ピッチングが続いている。前回登板の広島戦(4月21日)では5回雨天コールドゲームとなったため3勝目はお預けとなったが、古巣・ソフトバンクファンからは「なぜ巨人に放出したのか」の声も出ている。しかし、昨季まで2年続けて勝ち星のなかった高橋が復調した最大の要因は“巨人への移籍”にあったようだ。

 対戦チームの投手としてソフトバンク時代の高橋を見てきたパ・リーグ球団スコアラーがこう言う。

「近年の高橋は直球のスピードが遅くなったという印象です。そのため緩急が使えなくなりピッチングが苦しくなっていた」

 そんな中、去年までは内外角にスライダー、シュートなどの変化球を放るなど、“横幅”で勝負してきた。しかし今はスライダーの起動が“縦の変化軌道”に変わり“高低”でも対戦打者を翻弄させている。投球スタイルを変えたことが勝因の一つのようだが、多くのパ・リーグ関係者から聞こえてくるのは「コントロールが良くなった」という点だ。

「巨人移籍後、左足の使い方を学んだようです。アンダースローの高橋は体重移動などのバランスを大事にしていましたが、歩幅よりも踏み出す左足をどう使うかなどを指導されていました。左足の使い方を変え、コントロールが良くなったんです」(パ・リーグ球団スコアラー)

 その指導は、久保康生巡回投手コーチ、一軍の杉内俊哉、内海哲也両投手コーチによるものだという。

「もっとも、高橋は登板日前日まで対戦チームの映像をチェックし、打たれた場合も想定して対応策を捕手陣としっかり話し合ってからマウンドに向かっている。大城卓三、小林誠司と2回ずつバッテリーを組んでいますが、双方と息が合うようです」(スポーツ紙記者)

 巨人の水が合ったということだろう。

(飯山満/スポーツライター)

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