日本相撲協会が4月22日、またもや不祥事を突如として発表した。将来の横綱候補で幕内・大の里(二所ノ関部屋)が、昨年9月に未成年の幕下以下力士と飲酒したとして、本人と師匠の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)に「厳重注意」をしたという内容だった。
「優等生だった二所ノ関親方と、その弟子であるホープの大の里ということで、我々担当記者の間で衝撃が走りましたよ」(相撲担当記者)
相撲協会の不祥事の発表は、とにかく不可解なことばかり。今回もそうだ。何せ飲酒をしたとされるのが昨年の9月である。協会では元日馬富士による暴行事件をきっかけに、2018年にコンプライアンス委員会(青沼隆之委員長=元名古屋高検検事長)を設立。5つの一門には「内部通報」を担当する親方衆を添えているのだが…。
「いじめやパワハラなど不祥事があった場合、多くのケースが内部通報により発覚していますが、宮城野部屋では問題を起こした北青鵬(すでに引退)によるパワハラは長期間にわたっていた。一番の問題は、宮城野親方(元横綱白鵬)が隠蔽に奔走していたという点。北青鵬も今回の大の里も、どちらも親方イチ押しの力士なだけに“見て見ぬふり”の状況が蔓延しているのでは。だから不祥事が発表された時には問題が発生してからかなりの時間が経っていることになる」(相撲担当記者)
また今後、万が一、大の里に他の問題が発覚した場合、「厳重注意」だけの処分でいいのか? という話は必ず出てくる。その場合、二所ノ関親方の指導力も指摘されなければ、宮城野親方の処分(2階級降格・報酬減額・師弟一括転籍)があまりに重すぎるという声が噴出することも、八角執行部は絶対に避けたいところだろう。
(小田龍司)