「もしかしたら『ここからマツモト杉』なんて社名が誕生するかもしれない」
そんな笑い話がネット上に躍っている。まことに勝手な興味本位の連想ゲームだが、社名はともかく、ドラッグストア業界でビッグな経営統合が見込まれている。
2018年のドラッグストア業界の売り上げランキングは、1位がイオングループのウエルシアHD(7791億円)、2位がM&Aで拡大したツルハHD(7716億円)、3位が九州に拠点を置くコスモス薬品(6100億円)、4位がフランチャイズで伸びたサンドラッグ(5880億円)だが、これに次ぐ5、6、7位のマツモトキヨシHD(5759億円)、スギHD(4884億円)、ココカラファイン(4005億円)の間で、資本業務提携・経営統合に動き出したからだ。
より正確に言えば、スギとココカラの間で経営統合が、マツキヨとココカラの間で資本業務提携の話があり、両者共に、6月1日に正式にリリースが出されている。
「スギとココカラの経営統合はスギからの打診とされています。もともと水面下で統合の話し合いはしていましたが、マツキヨとココカラの資本提携発表があり、急いで統合を発表した形です。ドラッ
グストア業界の上位7社は全部、誰もが街中で見たことがある有名店舗を抱えていますから、それだけ各社がひしめき合いながら競争しています。そんな中、下位に甘んじていたら確実に競争で淘汰されてしまいますから、統合への動きでの乗り遅れは致命的。最終的には3社連合が誕生する可能性はかなり高いでしょう」(経済ジャーナリスト)
既に統合が発表されたスギとココカラの売上高を足せば、8889億円で1位のウエルシアを上回って1位に躍り出る。さらにマツキヨを足せば1兆4648億円となり、これはもうウエルシアの2倍近くと、圧倒的な存在となる。となれば、さらに他社の間で統合の動きが生まれる可能性があり、これら上位会社以外の会社を含め、業界全体で再編の動きが進むだろう。
「そもそも現在1位のウエルシアが首位に立ったのも2016年のこと。それまではマツキヨが業界トップを張っていました。ドラッグストアは『街の小売』としてコンビニやスーパーとも厳しい競合関係にあります。ウエルシアも、そんな小売り業界全体の競争に勝ち抜くためにイオンが2014年に買収したために伸びたという経緯があるんです」(同前)
ところで、変わった社名が多いドラッグストア業界、中でもひときわ変わった社名の「ココカラファイン」は、「みなさまの心(ココロ)と身体(カラダ)を元気(ファイン)にしたい」という願いに由来するもので、「場所」としての「ここから」という意味ではない。また、ココカラの社名を決める際には、「Yes,I can Holdings」という案もあったという。やはりどんな社名になるのか、興味は尽きない
(猫間滋)